過去ログ - 一方「だが上条、オマエには……『一方通行』と呼んでほしい」
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14: ◆lWV9WxNHV.[sage saga]
2013/08/30(金) 21:29:01.79 ID:bLPk5RuH0


「…………」

 そう、ってどういうことだろう?

 考えたことが顔に出たのか、インデックスは柔らかく苦笑した。
 何もかもわかっているような表情で、ゆっくり首を傾げる。

「ねぇとうま。とうまはこの世で誰かひとりだけしか手を掴んで助けられないとしたら、誰を助ける?」

 唐突な質問だった。
 上条は頭を抱えていた手を離し、隣の大事な少女を見下ろす。

 きれいな碧眼が、まっすぐにこちらを見上げていた。

「お前に決まってるだろ、インデックス」

 迷わずに答えれば、目の前の大事な少女は嬉しげで、少し心配そうな顔をした。

「あくせられーたは?」

 いつも賑やかな弾む声が、今はひどく静かだ。
 どうして急に一方通行の話になったのかわからず、上条はマジマジと大きな目を眺める。

「一方通行は打ち止めを助けるだろ」

 考えるまでもない、と不思議に思う。
 するとインデックスは、仕方ないなぁとでも言いたげに苦笑した。

「だから、そうじゃなくて。その手で私を助けたら、あくせられーたは一緒には居られないよ。
 それでもいいの?」

「何言ってるんだよインデックス。んなことねぇだろ」

 納得いかずに軽く眉を顰めれば、苦笑いがすっと静まって、ただ透明な眼差しが光る。

「そんなことあるよ。人はひとつのものしか掴めない。
 何かを掴めば、他のものは捨てなきゃいけない。私の手を取るのなら……」

 急に碧眼が揺らいで、囁くようであっても明晰だった声がくぐもる。

 この優しい少女が何を気にしているのかようやく理解して、上条は笑った。



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