過去ログ - 一方「だが上条、オマエには……『一方通行』と呼んでほしい」
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18: ◆lWV9WxNHV.[sage saga]
2013/08/30(金) 21:34:42.87 ID:bLPk5RuH0

 そんな思いを表情で察したのか、魔術側の象徴のような少女は、しかつめらしい顔で頷く。

「うん、そうだね。例えば『カーテナ』が戴冠式用の国宝だってことを英国国民全員が知っている。
 その『認識』が信仰という形に昇華され、あの凄まじい力となっているんじゃないかなってこと。
 同じく、十字教に根差した魔術は『神の御業を信じる者達』の信仰に働き掛けるものかも」

「ふ、ふーん……??」

 うろんげな反応しか出来ないこちらのことなどもはや一顧だにせず、インデックスは宙を見据えながら顎を撫でる。

「超能力者が『自分だけの現実』で持つような干渉力に達するには、千・万・億の無能力者の意志を束ねる必要がある。
 そのための方法が、共通認識であり、その象徴たる神話や聖書、歴史的遺物。つまり、信仰とは無数の人々の集合無意識。
 皆が『そう信じている』ことを利用し、宗教的意味のある儀式を経ることで、世界に干渉する」

 上条に説明するというよりは、説明を試みることで自らの考えを纏めているような印象を受けた。

「よって、信仰が多数であるほど強力な魔術を使用可能ということ。
 十字教の魔術が強大無比であるのも、全世界で二十億人の信徒を有するからなのかも」

 常にない真剣な横顔は、思っていたよりもずっと思慮深く見える。

「ただし、歴史や国家に依存した信仰であれば、その対象から離れることは出来ない。
 だから、カーテナも英国本国から出ては効力を発揮しない。
 信仰する国民がいない土地では、世界に干渉できないんだよ」

 澄んだ碧眼が、千里先を見渡すような輝きを帯びた。

「超能力の干渉力をPersonal Reality……『自分だけの現実』と呼ぶのなら。
 魔術の干渉力は『共同体幻想』……Public Realityとでも言えるかもしれないね」

「パブリック……?さっきから何の話なんだインデックス?」

 置いてけぼりにされるのがちょっと悔しくて食い下がってみると、インデックスは邪険にするでもなく微笑んだ。



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