過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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309:ゆりこと! ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2013/12/15(日) 11:51:25.45 ID:lbE05COTo

「助かった、垣根!」

幾らもしないうちに慌てた様子で彼女の下に駆け寄ってきたのは、馴染みの深い少年だった。垣根の分身のうちの一人と何処かで出会ったようで、彼女に傍らに座っていた本体らしい彼に頻りに礼を述べている。

「心配しただろ、1人であんまり遠くに行くなよ?」

「うン、ごめン。」

少女は膝に抱えていた猫を手放して立ち上がると、素直に謝った。その様子を見て、やはり垣根は「あれ?」と違和感を覚えた。少年の方も同じだったらしい、彼女が記憶を保ったまま幼い容姿に変わってしまったのであればここは悪態をつく場面だったし、記憶まで幼い頃に戻ってしまっていたとしてもこんなあどけない様子で謝ることはなかっただろう―少なくとも第七位の少年は、この年頃の彼女の在り様をよくよく理解していた。

(…妙に人懐っこいんだよな)

今現在の彼女も、幼かった頃の彼女もどちらかと言えば人見知りの激しい性格である。彼女が記憶を失ってしまっているのならば、「本当は自分の知り合いである人物たち」が相手であったとしても幾らか距離を持って対応しそうなものであるが、そういった様子は見受けられない。そのいっそ不安になるほどに人懐こい様子は、打ち止めを彷彿とさせた。

「とにかく、上条に会うしかないか、」

自分が悩んだところでイマイチ回答には辿り着ける気がしなかったので、少年は当初の目的通り不思議な右手を持つ少年を頼ることにした。

「ほんとにありがとな。」

ほんの少し過去に遡れば、第二位と第七位は少女の過去の記録を巡って結構なドンパチを繰り広げた間柄である。しかしながら、ちょっとどうかと思うくらいあっさりした性格の第七位はそんなこと気にならないようで、第二位に対して心からの感謝の念を告げて手を振った。



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