過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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457: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:17:49.28 ID:j0OVYBbqo

もう一つの機能は、術者が両手で触れただけで魔法陣がその生命力から魔力を自動で精製する機能であった。これは外側の円に付随していて、元の魔術から一切加工しなかった。
元々が魔力を精製するのも儘ならない状態に陥った魔術師が使用する魔術であるから、この機能は必要に迫られて備わったものなのだろう。能力者でありながら魔術を使わなければならなかった一方通行には好都合だった―魔力の精製過程を魔法陣が担うことで能力者への負担が軽減されるのではないかと予想したのだ。もちろん、生命力を自身が供給すること自体には変わりがなく、一切のダメージを回避できるとは思っていなかったけれど。

しかし一見大きな問題もなく完成されたように見えた魔法陣も、酷く衰弱して十分な生命力を備えていなかった彼女には発動させることができなかった。
以下略



458: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:18:47.11 ID:j0OVYBbqo

土御門が部屋を訪ねてきたのはその頃だった。
彼はこんなにリスクの高いことを単独で成し遂げようとした彼女の心理について何だかんだと勝手に推理していたようだった。彼の推理も当たらずとも遠からずであったけれど、最大の理由は他にあった。
ずっと、妙な感覚に苛まれていた。そしてそれは、幼い日に能力を暴走させてたくさんのものを傷つけたときと酷く似ていた。何だかふわふわして、でも妙に重くって自由にならない体。揺れる水面でも介して見ているのかと思うような、ぐわんぐわんと歪む視界。何もかもが、誰もいない街を独りで彷徨った、あの日に似ていた。
あの頃よりかは余程能力の制御には自信があるし、そもそもこの体は演算能力を失っていて首元の電極のスイッチを切り替えない限りは能力が使えない。それでもMNWと切断された状態で暴走に似た能力の発現を経験したことがある彼女は、あの日のように自分の能力が暴走することはないと自信を持って言い切ることができなかった。
以下略



459: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:19:15.54 ID:j0OVYBbqo



そうだ、
そんなことばかり考えているから、
以下略



460: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:19:42.69 ID:j0OVYBbqo

突然ベランダに続くガラス戸が割れて、その向こうから少年が飛び込んでくる夢。後ろの方ではインデックスの慌てたような声がして、少年の大きな手が自分の体を確かめるように撫ぜた。



461: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:20:12.95 ID:j0OVYBbqo



『酷い、
これ以上ないほどに、嫌な夢だ。』
以下略



462: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:20:39.06 ID:j0OVYBbqo

窮屈な部屋の隅っこで更に窮屈そうに寝ていた自分を、彼が部屋の真ん中に横たえてくれる。単に広い場所の方が描きやすいかと思って自分が描いた魔法陣の中心だ。少年が自分から手を離したあとも、体の距離までは離してくれそうになかった。



463: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:21:10.65 ID:j0OVYBbqo

いやだ、
触らないで、
それに触ったらオマエは、



464: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:21:59.99 ID:j0OVYBbqo

そうだ、
夢じゃない。



465: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:23:12.11 ID:j0OVYBbqo

そうだ、
夢じゃない。



466: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:23:38.81 ID:j0OVYBbqo





以下略



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