過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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458: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/02/15(土) 13:18:47.11 ID:j0OVYBbqo

土御門が部屋を訪ねてきたのはその頃だった。
彼はこんなにリスクの高いことを単独で成し遂げようとした彼女の心理について何だかんだと勝手に推理していたようだった。彼の推理も当たらずとも遠からずであったけれど、最大の理由は他にあった。
ずっと、妙な感覚に苛まれていた。そしてそれは、幼い日に能力を暴走させてたくさんのものを傷つけたときと酷く似ていた。何だかふわふわして、でも妙に重くって自由にならない体。揺れる水面でも介して見ているのかと思うような、ぐわんぐわんと歪む視界。何もかもが、誰もいない街を独りで彷徨った、あの日に似ていた。
あの頃よりかは余程能力の制御には自信があるし、そもそもこの体は演算能力を失っていて首元の電極のスイッチを切り替えない限りは能力が使えない。それでもMNWと切断された状態で暴走に似た能力の発現を経験したことがある彼女は、あの日のように自分の能力が暴走することはないと自信を持って言い切ることができなかった。

だから身を隠した。
いつどんな切っ掛けで暴発するとも知れぬから、貴重な友人であるインデックスや上条を頼るわけにもいかないし、自分と似たり寄ったりのクソッタレである土御門や海原を巻き込むことにも気が引けた―何せあまりにもリスクが大きすぎて、どんな条件を提示したところで取引として成立しないだろう。
況してや少年を頼ることなど、できる筈もなかった。先日特力研であの映像を見てしまった日から彼を傷つけてしまったときの感覚が繰り返し鮮明に蘇ってきて、近くで息をすることすら困難に感じらていた彼女の中で、彼に頼りたいという気持ちよりも、再び同じようなことを引き起こしてしまうことに対する恐怖心が勝った。



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