過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/02/15(土) 13:24:39.60 ID:j0OVYBbqo
夢うつつの境目をふらふらと彷徨っていた彼女は、はっと起き上がった。彼女自身が驚くほど体は軽くって、先程まで息をするのにも胸が痛むほどであったのが逆に夢だったのだろうかと訝しむほどだった。
曇っていた視界も俄に開けていった。視界に入ったのは、ぐったりと床に倒れこむ少年の姿だった。
「ぐんは、」
見た目には然程外傷はなかった。しかし魔術を使用したことがある彼女は、外見的なダメージとは全く別に、内臓や全身の血管に夥しい損傷が加わっているだろうことを知っていた。事実、出血など殆どしていない筈の少年は、彼らしくない酷く青褪めた顔色に変わっていた。
うつ伏せに倒れこんでいた彼ににじり寄り、バイタルサインを確かめる。息もあるし、脈もある。しかし、彼女の脈拍が動揺により普段の倍ほどになっていることを加味しても、彼の心拍は酷く遅かった。何も手を打たなければ、10分も持たないだろうと思った。
(冥土返し、は、もう、間に合わない)
病院に運ぶ時間すら惜しい。結標のような人間の協力を取り付けたところで然程状況は好転しないだろう―彼女の優秀すぎる頭脳は、いっそ非情にも思える判断を下した。
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