過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:33:07.00 ID:/zUy/61do
偶々手近にあった延長コードに充電機を繋ぐことができた為、充電作業自体はできた。ただ、10032号の言葉通りであればこの状態があと1時間以上は続くということが―つまりは、すっかり寝入った少女にしがみつかれたままソファーに押し付けられている状況が問題であった。
「「俺を預ける」―っちゃあ、言い得て妙だな。」
以下略
619
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:33:32.63 ID:/zUy/61do
この状態の彼女のことを、自分は何も知らない。
以下略
620
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:36:06.26 ID:/zUy/61do
彼女自身も妹達も電極を外した状態について語ることはあまりなかったし、少年も人の隠しごとを暴く趣味はないから、積極的に訊ねることはなかった。このように生活を共にするようになる前に、自分から積極的に関わっていくべきだったのかもしれないと、この上京を鑑みれば思わないでもない。
「彼女」について彼が知っているのは極僅かなことだ。
以下略
621
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:40:01.09 ID:/zUy/61do
「ァ…?」
そのとき彼の胸の少し下辺りで、か細い寝息とは違う、しっかりとした息遣いが感じられた。それから、もぞり、とか細い腕が藻掻く気配がある。
以下略
622
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:41:47.10 ID:/zUy/61do
さて、彼女が動くことで拘束は緩んだが、こうもきっかりと見詰められて跨がられたままでは身動きが容易でないことに変わりはない。彼女がぱっちりと目を覚ましてしまった今となっては起こすのを危惧する必要性もないし、多少の状況の改善を試みてもいいだろう。
「百合子、とりあえずソファーから降りないか?」
以下略
623
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:45:37.64 ID:/zUy/61do
「酷い目に遭った…後でマッサージ要求するぞコラ。」
とんとん、と彼は自身で肩の後ろ辺りを叩いた。無茶苦茶な身体能力を持ってはいるが、あくまで能力を使ってこそのものであり、身体的な疲労を全く感じないわけではない。例えば四六時中上条の右手に触れられていたら、少しスポーツの得意な当たり前の高校生くらいのことしかできない筈だ。本人もほとんど無意識に発動させている能力だから、そうは見えづらいだけのことである。
以下略
624
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◆owZqfINQN1ia
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2014/05/17(土) 22:46:23.42 ID:/zUy/61do
「今のお前に言って分かって貰えるのか、分からないけど。」
あちらこちらに視線の移ろう彼女の頬にそっと触れて、こちらを向かせる。突然の少年の行動に驚いたようだったが、嫌がったり怖がったりしている様子はなかった。
以下略
625
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:47:49.83 ID:/zUy/61do
嘗ては、実験動物として扱われる彼女を一人の人間として扱うことこそが自身の使命であるように思っていた。そしてそれは、何年か前の二人にとっては紛れもない事実だったと思う。
だけど彼女は、今となっては「一方通行」と分かちがたくなってしまった。彼女が「一方通行」として振る舞ったこと、為したこと、それはなかったことにはならない。これまでは彼女が触れてほしくないのであれば、と積極的に関わってこなかったけれど、生活を共にする以上見て見ぬ振りもできないのだろう。そして彼女もそれを理解していて、こんな突飛な行動に出たに違いない。
「綺麗ごとだけじゃなくて、欲だとか、嫉妬とかも多分に入り混じった感情だとは思うんだけど。」
以下略
626
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2014/05/17(土) 22:51:27.09 ID:/zUy/61do
「ずっと、元の通りになりたいと思ってた。」
「でも、元通りなんてどこにもない。例えあの実験がなかったとしても、過ぎた時間はなかったことにはならない。」
以下略
627
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◆owZqfINQN1ia
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2014/05/17(土) 23:00:01.89 ID:/zUy/61do
「俺は何度だって、お前を好きになるよ。」
きっと必死に理解しようとしてくれているのだろう。本来であったらあちらこちらに興味の移り変わる筈の彼女は、彼が独り言にも近い告白をしている間、ソファーの座面にことりと頭を預けたままその様子を見守っていた。
以下略
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