過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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701: ◆owZqfINQN1ia[sage saga]
2014/12/23(火) 15:55:35.96 ID:DKmpxMOBo



「ここでできる限りの治療はしたけれど、完治には程遠いものよ。ある程度2人の体力が回復したらお家に帰ることをお勧めするわ。」

何だか顔色の悪い痩せぎすの女が―衛兵らしい男がエリザリーナと呼んでいたから、御坂の聞き間違いでなければこの国のトップだろう―顔見知りらしい浜面という男に伝えるのを聞いて、御坂はほっと息を吐いた。

「色々と世話になりっぱなしで済まねーな。」

「そんなことはないわ、彼らがいなければこの辺り一帯は消し飛んでいただろうし。」

彼女の言う言葉が「彼がいなければ」というものであればすんなり聞き流すことができたのだろうが、「彼らがいなければ」というのは御坂にとって俄には理解し難いものであった。信じる信じないという以前に、その「彼ら」という言葉に一方通行も含まれるのかと純粋に疑問に思う。

「今は状況が状況だからこの部屋から出歩くことは許可できないんだけれど、何かあったら外の見張りに声を掛けて頂戴。彼は日本語が分かるから。」

先ほど戦争が集結したばかりで何かと慌ただしいのだろう、部屋の外には沢山の人の忙しない足音や興奮気味のロシア語が響いている。戦争に敗北したロシアと対立していたとはいえ小さな独立国の集合体だ、今この瞬間の身の処し方を誤れば戦争に負けたのよりも酷い結末を迎える可能性もある。突然彼らを頼りにしてやってきた戦争の勝者側の人間を好き勝手に行動させるほどの余裕がないのは当然のことと思えた。むしろ、2人の治療をしてもらえただけでも万々歳というところだろう。2人ほどではないが外傷や疲労が見られた他の人物たちも応急処置的ではあるが十分に誠意の感じられる待遇を受けた。



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