過去ログ - 削板「一緒に暮らさないか、百合子。」
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◆owZqfINQN1ia
[sage saga]
2015/06/15(月) 21:58:41.23 ID:2Cc/Ortxo
「随分な心境の変化だね。」
翌日病院を訪れた白井に対し、カエル顔の名医は目を瞠った。問診すらしないうちに彼女の心持ちが昨日までと全く変わっていることに気付くことができるほどに、それは大きな変化であった。元から中学生らしからぬ堂々とした振る舞いを見せる彼女は、更に洗練されてそこにいた。
「結局人間、自分の信じたいものを信じるしかないのだと思いましたの。」
「それはそうかもしれないけれど、白井くんはそれだけじゃ割り切れないことも経験したんじゃないのかい?」
白井自身、特力研の跡地である映像を目撃するまで挫折などは自身の哲学を貫くだけのことができない弱い人間のすることだと思っていた。彼女はそれまで負けたことはあっても、それで挫けたことはなかった。次は、次が駄目でもそのまた次は、そうやってそう信じて必ず成長してハードルを超えてきたのだ。だから彼女は特力研で幼い学園都市第一位に振りかかる不幸を目撃し、この世にはいくら力ある人間でも致し方ならない天災が在ることを初めて知ったのだ。
「結果がどうあろうと、信じるのは自由ですの。」
この広い世界で、自身の行いの結果がどこに行き着くかなどと分からない。何年も、或いは何十年も先になって自分の全く知らないところで全く知らない何かを齎していることもあるだろう。だけれど、だからこそ、白井は自身の行動が善い結果を齎すことを祈って、信じるしかない。どうせ過程も結果も見えないのだから、信じてさえいれば実際の結果がどうなろうと白井の知ったことではない。
「それだけ言えるのなら、もう能力の使用にも問題ないだろうね。念のため連続での使用は、そうだな、3回くらいまでに収めておいてくれると嬉しいんだけど。」
「それは難しい注文ですの。」
「そう言えるなら、もう本当に大丈夫だよ。」
それはつまり、セーブするとかいう選択肢をそもそも持ち得ないくらいに自身の行動の結果に確信を持っているということだ。能力というのは才能よりも知識よりも自身の心の持ち様がものを言うものである。ここまで自身の行いに対する矜持を回復した彼女を脅かすものなど、もう何もないはずだった。
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