6: ◆delkBMjP.Ce4[saga sage]
2013/08/31(土) 23:27:42.94 ID:xp1O2wjRo
「皆さんの担当するアイドルはここにはいません。担当アイドルはこの方法で探してもらいます」
そっと、一枚の紙をトレーナーさんが配り始める
(プラチナ……オーディション?)
目指せ! アイドル!
一昔前みたいなキャッチフレーズが書かれたチケットを見つめる
街角でスカウトでもするのかと思っていたら意外な方法だった
研修後にこのプロダクションで開かれるオーディションに来る子達の中から
これから仕事するにあたって相棒となる担当アイドルを決める
本来なら街角に出てスカウトするんだろうが、無条件で参加できるらしい
新米プロデューサーであるオレ達へのサービスのようだ
何にせよ余計な手間が省けてラッキーだった
今のオレにはきっとツキが来ているに違いない
他の奴らも同じ事を思っているらしく、心なしか嬉しそうだ
「プロダクションから研修終了後に参加するように連絡がきています」
「皆さんには一人の子をこのオーディションでのその場で合格させる権利が与えられます」
「もちろん、強制ではありませんので利用するもしないも皆さん次第です」
トレーナーさんの目が真剣なものに変わり、淡々とオーディションの概要を伝えられる
告げられる内容をかみ砕いていくと、どうやら研修終了後のサポートは無いらしい
話しが上手すぎると思ったけどそうでも無かったようだ
アイドルの心配は無くなったが、楽観視できるような事態では無い事がひしひしと伝わる
要はこれはオレらに与えられたテストってわけで、自分の相方を見つけこの世界をのし上がって行く
もちろん上がれなければアイドル共々容赦なくサヨナラ
本来ならありがたいはずのこのオーディションも、今は地獄への片道切符に見えてくる
プロデューサーになるというだけで、訓練所にでも放り込まれた気分だ
もっとも、今までこの業界に触れた事もないど素人が仕事をするならば
それくらいはできないとこれから先はお話にならないとも言えるが……
色々とネガティブな考えが浮かんでは消える
むしろ、チャンスを貰えただけでもありがたいと思った方が良いか
オレは未だに整理がつかない気持ちを胸に、踊り続けるアイドル達を眺めていた
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