831: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:21:19.57 ID:6KmO6T45o
京太郎「明晰夢?」
確か、見ている本人が夢を夢と自覚しながら見る夢のことだったか?
メカニズムとしては思考、意識、長期記憶などに関連する前頭葉が海馬と連携して覚醒時に入力された情報を整理する前段階において、
832: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:21:47.30 ID:6KmO6T45o
京太郎「? それとこの状況とどんな関係がある?」
大沼「…………ないな」
京太郎「……」
833: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:22:14.93 ID:6KmO6T45o
京太郎「とにかく、そういうことなら俺は帰らせてもらうぜ」
踵を返しその場を後にしようとする。
明晰夢は見るのは難しいが覚めるの簡単だと聞く。このおっさんとの物理的な距離は関係ないが、なんとなくこの場にはいたくない。
834: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:22:43.67 ID:6KmO6T45o
大沼の言葉に俺は打ちのめされていた。
確かにその通りだった。咲たちが輝かしい栄光をと賛美を浴びる一方で俺は県大会初戦敗退という、なんの価値もない結果しか残せなかった。
初心者だから、などという言葉は言い訳にもならない。
835: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:23:11.14 ID:6KmO6T45o
京太郎「悪いなおっさん。やっぱ俺は帰らなくちゃいけないみたいだ」
大沼「ほう?」
京太郎「俺が側にいないとさぁ、咲が泣いちまうんだよ!」
836: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:23:55.10 ID:6KmO6T45o
懸命に身を捻り、両手両脚で砂浜を削りながら手負いの四足獣の姿勢で急制動。
視線の先。大沼秋一郎はただ悠然と佇んでいた。
その余裕の態度が癪に障る。
837: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:24:46.56 ID:6KmO6T45o
どうする? 小技で攻めてもすべて対処される。
となれば対処しきれない程の飽和攻撃で一気に攻めきるしかない。
あれをやってみるか。
838: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:25:15.20 ID:6KmO6T45o
大沼秋一郎を中心に周囲を、半球状の霞が満ちている。
雲は膨大な数の俺自身。半球内部に向け拳と視線を向けていた。
しかし数を数えようとすると不可能になる。その姿は見えるようで見えないという不可思議な光景。
839: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:25:42.15 ID:6KmO6T45o
不確定性原理によって運動が決定された身体は位置が定まらなくなり、存在する場所を確率でしか現せない粒子の雲となる。
本来なら、身体が対象に接触する確率の総和が時間的に変化しないことを、確率の保存が保証し空間内の確率密度の総和も必ず1となるしかない。
だが、身体が位置rに存在する絶対確率を表す方程式を操作し、確率密度の総和を1以上の膨大な数に引き上げてやることで数え切れないほどの須賀京太郎を並行的に同時存在させる。
840: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:26:11.61 ID:6KmO6T45o
大沼「まさか、こんな姑息な手に引っ掛かるとはな」
京太郎「の割には、どこか満足気なのは気の所為か?」
大沼「行くのか?」
841: ◆g57b5LtYaYY5[sage saga]
2014/01/04(土) 10:27:05.08 ID:6KmO6T45o
急激に意識が覚醒する。
見開いた視界に、白い肌。茶色がかった前髪と、瞑られた目蓋の縁の睫毛が意外と長いなと、どうでもいいことに気付いた。
口元に粘膜の感触。合わされた口腔から、肺腑に息が送り込まれてくる。
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