14:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 18:48:53.47 ID:bKqi92pu0
「恋は信じるか疑うかどっちかよ、半分だけ信じるとかちょっとだけ疑うとかそんなズルいのは許されない」
「……」
「嘘ごと愛すか、真実ごと疑うか」
「……」
良いことを言ってくれている気はするのだが、あんまり収まりの良い言葉を使われると
「あれ、ひょっとしてこの人これが言いたかっただけなのかな」と思ってしまうので、
もうちょっと洗練されてない言葉で言ってくれたほうが良かったかなーって。
「酔った勢いでなんとかしようとしちゃ駄目よ」
「……」
今度こそ俺はオカマでも見たような顔をしているはずだ。
なんだこれは、俺の部屋にはピンホールカメラでも仕掛けられているというのか。
今にもプラカードを掲げた貴音(仕掛人)が現れるのだろうか。
「男と女の組み合わせは星の数ほどあるけどね、やるこた限られてんのよ」
「……かないませんね」
俺は頭をうなだれてしまう。
ディレクターさんは立ち上がりながら、言う。
「女って、難しいのよ」
「わかってるつもりでは、あるんですけど」
「わかりっこないわ」
そう言い残し、男でも女でもそんな動きはしないだろうという身のこなしで
ディレクターさんは颯爽と休憩室を立ち去っていった。
今一瞬あの人のことをちょっと格好良いと思ってしまった俺をぶん殴りたい。
「わかりっこない、か」
俺はすっかり冷えてしまったコーヒーを一気に飲み干し、ディレクターさんの後を追う。
いやディレクターさんに用はないのだが、貴音の仕事に立ち会わなければいけないのである。
……貴音の顔が見たくなってしまったのである。
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