過去ログ - 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
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10:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 21:34:31.45 ID:DVgSD76f0
 返事も待たずにドアを開け放ち、唖然とした表情の彼と社長の前に立つ。
「面白い話をしてるじゃないですか、プロデューサーさん。ボクも混ぜていただけますか?」
「幸子、お前、何を」
 ボクは不敵な笑みを浮かべ、胸を張り、なけなしの虚勢を振りかざす。
「ボクにプロデューサーさんが必要? 面白いことを言いますねえ。いいですか、よく聞いて下さい。世界で一番カワイイボクに! 世界で一番キレイなボクに! 必要なものなんて、何もありはしませんよ!」
 震えそうになるのを、声を張り上げることで必死にごまかす。
 ボクは、世界で一番可愛く、綺麗で、そして無敵だ。
 彼が育ててくれたボクを、彼が与えてくれたボクを、否定してたまるか。
 ボクは行儀悪く、彼を指さす。
「というより、プロデューサーさんがボクのことを必要としているんでしょう? なにせ、ボクは世界一のアイドルに駆け上がる器ですから! ただ隣にいるだけで、プロデューサーさんはナンバーワンプロデューサーへの昇格間違いなしなんですよ! どうですか、悔しいですか、悔しいでしょう? もう、身近でボクを見守ることができないなんて、どれだけ、っ」
 声が途絶える。
 ボクの馬鹿。
 ぽたり、
 ぽたりと、
 涙が頬を滑り落ちていく。
「どれだけ、不幸なことかっ……。今まで、ボクを、ここまで導いてくれたのに、こんなところでお別れなんて、悔しくて、悲しくて……ボクが、どれだけ、貴方に感謝しているか! そんなことも伝えられずに、何の恩返しもできずに、こんな……」
 それが限界。
 ボクは声を上げて泣いた。
 彼が駆け寄ってきて、そっとボクを抱き締めてくれる。
 彼の胸の中はあたたかくて、そのぬくもりこそがボクの失うものだった。
「ありがとう幸子。お前のプロデューサーになれて本当に良かった」
 それがボクと彼の旅の終わり。あるいは途中。


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