過去ログ - 【モバマス】「幸子、俺はお前のプロデューサーじゃなくなる」
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18:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:00:17.09 ID:DVgSD76f0
 寝坊して、遅刻した。
 涙で腫らしたひどい顔のまま、電車に飛び乗って事務所に行った。
 プロデューサーさんは何も言わなかった。かえってそれが怖かった。
「すみません……」
 こちらからそう言ったきり、目も合わせずに駆け出した。
以下略



19:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:00:51.76 ID:DVgSD76f0
「面白そうな話をしてますね。ボクに続きを聞かせてもらえますか?」
 一瞬の静寂が訪れる。
 戸惑うような空気がトイレに満ちていく。
「いえ、何でも……すみません、失礼します。ほら、行くよ」
 数人の足音が遠ざかっていく。
以下略



20:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:01:30.16 ID:DVgSD76f0
 翌日、事務所に向かう電車で急にお腹が痛くなった。
 座席で体を丸めるみたいにしていたら、降りる駅を通り過ぎていて、気がつくと痛みは引いていた。
 もうどうしたって間に合わないと気づいた時、ほっとしてしまったことに自己嫌悪。
 引き返す気にもなれなくて、適当な駅で降りてみる。
 駅前はとても賑わっていて、若い人たちの姿が目立つ。
以下略



21:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:02:21.65 ID:DVgSD76f0
 プロデューサーは店内に戻り、今度は両手に袋を抱えて出てきた。
 片方を手渡される。
 中身はお茶とサンドイッチだ。
 プロデューサーが、駐車場の、日陰になった縁石に腰を下ろした。
 そのまま、弁当の包みを剥き始めたので、私も近くの縁石に座った。
以下略



22:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:02:51.96 ID:DVgSD76f0
 私は今度のアイドルライブイベントの前座を務めることになった。
 とはいえ、たくさんの新人アイドルのひとり、悪く言えば、にぎやかし、引き立て役だ。
 お客さんのお目当ては、最近ぐっと知名度を上げているトライアドプリムスの三人だ。
 誰も私なんて見ていないからこそ、気負わずに自分を出すチャンスだとプロデューサーは言う。
 全く実感が湧かなくて、私は他人事みたいに話を聞いていた。
以下略



23:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:03:23.80 ID:DVgSD76f0
 アイドルライブイベントに備えて、幸子ちゃんが私に稽古をつけてくれることになった。
 彼女の仕草は、全てが自信に満ち溢れていて、圧倒されてしまう。
 同じ年齢なのに、へこんでしまう。
 だけど、私はもう、幸子ちゃんにも、弱い部分があるんだって知っている。
 だから、才能なんて言葉で片づけてしまうのは、卑怯者のやることだ。
以下略



24:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:03:54.30 ID:DVgSD76f0
 私たちはついに、アイドルライブイベントの日を迎える。
 場所は、郊外にあるアウトレットモールの広場。
 開始時間まで、私たちは控え室で待機する。
 幸子ちゃんは平気な顔をしているけれど、少し手が震えていた。私もそうだ。
 緊張感に耐えられなくなって、トイレに立つと、幸子ちゃんも一緒についてきた。
以下略



25:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:04:48.41 ID:DVgSD76f0
 そうして、時間はみるみるうちに過ぎていき。
 ついに開演の時間。
 衣装は万全。ダンスも頭に叩き込んだ。喉の調子も悪くない。
 トークのネタも、渾身のものを用意してきた。
 控え室の扉が開いて、スタッフさんが顔を出す。
以下略



26:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:05:29.60 ID:DVgSD76f0
 喉がかれるほどの大声で、一曲を歌いきる。
 体が千切れ飛びそうなほどの動きで、ダンスを踊りきる。
 客席からは、後に尾を引く、歓声と、拍手。
 ……終わった。
 最後に、全員が順々に、ほんの数秒ずつ、マイクでコメントを残していく。
以下略



27:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:05:56.71 ID:DVgSD76f0
 待ち構えていたプロデューサーの車に乗り、高速を飛ばして、おばあちゃんが入院する病院へ。
 おばあちゃんは全身にたくさんの管をつけて、穏やかに眠っていた。
「一時期は危険な状態にありましたが、峠は抜けました。今は落ち着いています」
 お医者さんの優しい声に、我慢できなくなって、私は声を上げて泣く。
「触っても……いいでしょうか」
以下略



28:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:06:31.60 ID:DVgSD76f0
 その日、私は、着替えもしないまま。泣き腫らした目のまま。
 再び、プロデューサーの車で、アウトレットモールに引き返す。
 ライブイベントの公演なんて、もう何時間も前に終わっていた。
 辺りはすっかり暗くなり、アウトレットモール自体の営業時間がもう近い。
 私は、お客さんも、お仕事も、放り出してしまった。
以下略



29:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/04(水) 22:07:53.98 ID:DVgSD76f0
今度こそ、本当に、以上となります。
ありがとうございました。


30:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 22:20:16.70 ID:gQstA85ro
渋のやつだっけ。
乙です!


31:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 22:21:33.08 ID:r5Gz3ryuo

いい話だった、掛け値なしに
乃々と幸子は性格は正反対だけど無茶振られ仲間でもあるしいいコンビだね


32:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 22:39:05.14 ID:cPylzAxqO
素晴らしい!

でも、文の間を1行開けて貰いたかった
なまじ素晴らしい作品なだけ読みにくくなるのはもったいないと思いました。


33:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/04(水) 23:54:52.94 ID:M7L8k1CU0
乙でした


34:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 01:13:23.54 ID:Phq/icYLo
輿水幸子(14)
i.imgur.com
i.imgur.com

森久保乃々(14)
以下略



35:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 20:47:34.49 ID:b67FJ4X10
乃々も幸子も凄く魅力的だった
無粋かもしれないがあえて言わせて欲しい…続きマダー?


36:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 21:08:46.55 ID:caumB5aJ0
みなさま、お褒めの言葉、ありがとうございます
行間については、申し訳ありません。配慮が足りませんでした

続きについては、また、投下させていただくかもしれません
また、pixivの方でも活動しておりますので、遊びに来て下されば、嬉しいです
以下略



37:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 21:32:42.39 ID:b67FJ4X10
スレタイで登録されている訳でも無し、
遊びに行こうにもどう探せばいいのやら…?
という訳でpixivの詳細kwsk。



38:以下、新鯖からお送りいたします[sage]
2013/09/05(木) 21:46:35.80 ID:caumB5aJ0
www.pixiv.net
こちらです。お手数掛けまして、申し訳ございません


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