57:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/11(水) 01:03:25.64 ID:qgOebLqx0
 P「……これは誤差の範囲ってところだろうな」 
  
 重要なのは『こちらで観測した人物と接触する』という事だ。 
 それ以外は気に留めなくてもいいだろう。 
  
 P「つまり……」 
  
 ほぼスケジュール通りである事。 
 ここで観測した人物と、あちらですぐに会うという事。 
 こちらに居てもデスクワークを終えているという事。 
 あちらで意識が途切れるのは、決まって一人の時だという事。 
 ならば、これらが導く結論は―― 
  
 P「俺が二重人格である、という事……」 
  
 それ以外の可能性は思いつかない。 
 発想が飛躍しているのは分かっている。 
 けれど。 
  
 P「……これが一番しっくりくるのも確かだ」 
  
 いきなり『俺は二重人格だ』なんて言えば、『頭がおかしくなったのか?』と思われるかもしれない。 
 しかし、現実に二重人格者は存在するのだ。 
 それがどれだけ低い確率であろうとも、確実に。 
  
 P「その低い確率を引いたのが俺だった……って話だな」 
  
 有り得ないのでなければ、それが自分に降りかかっても何ら不思議ではない。 
 人間、実際に経験するまでは『まさか自分が』と思っているものだ。 
 加えて、自分が二重人格だと判断する一番の理由もある。 
  
 P「二重人格になった際、いわゆる『待合室』のようなものができる……らしい」 
  
 一人が表に出ている間、もう一人は無意識の中で待機するものだと聞いている。 
 『待合室』は人によって違うらしく、教会や草原、他にはアパートやマンションなど、その形態は様々だ。 
 俺の場合だと、この空間がそれに該当するのだろう。 
 そんな風に考えれば、立てた仮説はより真実味を帯びてくる。 
  
 P「まあ、闇雲に否定してもこの状況は変わらないしな……」 
  
 俺がこの状況にあるという事実は受け止めねばならない。 
 思えばあの時――伊織と接触した時――意識を失った筈の俺が急須を取り落とさなかったのも、もう一人の俺が出てきたからだろう。 
  
 P「それに――」 
  
 この二重人格……考え様によっては、案外悪くないのかもしれない。 
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