59:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/11(水) 01:05:28.12 ID:qgOebLqx0
P「……そろそろか」
そう呟いた途端、落ちてきた雫が水面を波立てる。
揺れは次第に大きくなり、ぼやけた立像が浮かび上がった。
P「この像も『彼』からの事前情報なんだろうな」
今から接触する人物を事前に見せてくれている、と言ったところか。
実際、これのお蔭でスムーズに状況を把握できている部分もある。
P「贅沢を言えば、もう少し柔らかい表現にして貰えると嬉しいんだけど」
何度もここに来ているとは言うものの、未だにあの眼差しには慣れない。
どうしてこうも攻撃的な伝え方なのだろうか。
P「……まぁいいか」
余計な事を考えるのはここまでだ。
今はこの像が誰なのかを認識しなければ。
P「ふむ……これは――」
陽炎の如き立像を見つめ、湧き起こるイメージを輪郭に重ねる。
すると、複数の線は一つに纏まり、全体像が安定してゆく。
P「……美希だな」
美希「…………」
輝く金髪に、身体のラインがくっきりと出た服。
左手を腰に当て、右手は身体に沿うように下げられている。
気だるそうでありながら、同時に貫禄を備えているような立ち方。
以前の眠そうなイメージは微塵もなかった。
P「美希も成長したよな……」
やる気も何もなかった、漠然とした夢しか持たなかった美希。
それが、俺のイメージすら塗り替える程に大きく、強くなった。
P「それにしても……やっぱり怖いな」
この空間には、あの前向きなエネルギーに満ちた美希の瞳は存在しない。
プレッシャーを放つような存在感と、それに反する空虚な視線が不気味さを加速させる。
そして。
P「……始まったか」
空間に線が刻まれ、灰色の構造体が生まれてくる。
『まるでコンピューターの中に居るようだ』と、錯覚させる景色。
不意に、何も無い宙の一点が幽かに明滅した。
それが引き金になったのか、直視できない程の白が弾けて……
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