過去ログ - 【モバマス】「まゆ、お前は夢を見せる装置であればいい」
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14:以下、新鯖からお送りいたします[saga]
2013/09/12(木) 20:51:39.67 ID:MAqM1HVe0
「闇に飲まれよ!」

 扉が勢いよく開いて、花束を抱えた蘭子ちゃんが飛び込んできます。

 呆然とするまゆの胸に、色彩豊かな花束が押しつけられて。

「何だ、お前は!」

「ククク……我を知らぬとは、瞳を持たぬ者か。高貴なる我が真名を聴くがよい。我、冥府より――」

 遅れてまた扉が開いて、今度は蘭子ちゃんのプロデューサーが入ってきました。

「申し訳ございません、蘭子がご迷惑をお掛けしまして。この子がどうしても、佐久間さんに花束を贈りたいと」

 彼が差し出した名刺を、ディレクターは横柄に取り上げて、ふんと鼻を鳴らします。

「うちのまゆと、どのようなご関係で?」

「我らは前世より深い絆を築きし――」

「蘭子は、ご友人として、佐久間さんによくしていただいております」

「ほう、友人ね……まゆ、本当か?」

 頷くと、ディレクターは、うさんくさそうな目で蘭子ちゃんを見ました。

 そんな目で、蘭子ちゃんを見ないで。

 そう思うのに、まゆは……。

「失礼ついでに……実は、折り入ってお願いしたいことがありまして、ご挨拶に参りました」

 プロデューサーさんは、鞄の中から冊子を取り出します。

「今度、秋葉原のカフェで、新人アイドルによるライブイベントがあります。小規模なイベントではありますが、取材も入ります。そして……これは私情になりますが、蘭子にとっては初めてのステージです。もし、よろしければ、佐久間さんにもご出演を願えないかと」

 心が高ぶったのは一瞬のこと。

 ディレクターは、下らない仕事だと一蹴するに、決まってますから。

「いいでしょう」

 思わずえっと声を上げました。

「まゆを出しますし、小規模なイベントだというなら我々がスポンサーとして出資しましょう。まゆと懇意にしてくれている、その子の門出を、盛大に祝おうじゃないですか」

「ありがとうございます! 本当に……感謝致します」

 まゆはディレクターの横顔を見つめ、そうしてから、目の前の蘭子ちゃんを見た。

 蘭子ちゃんの瞳が喜びに輝き、うっすらと涙さえ浮かんでいます。

「我、光を得たり!」

 まゆたちは、抱き合います。

 少し前、ディレクターにかけられた辛辣な言葉なんて、消えてしまったよう。


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