過去ログ - ジオン女性士官「また、生きて会いましょう」学徒兵「ええ、必ず」
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◆tK49UmHkqg
[saga]
2013/09/24(火) 21:43:36.31 ID:q9z5J92ho
営舎に戻った俺たちは、残っていた連中に拍手で出迎えられた。部隊長とオスカーの仇討ちをしたことと、連邦の新型を撃破し、うち1機を不完全な状態ながら鹵獲できたことが伝えられていたからだった。
だが、俺はそれがあまり面白くはなかった。それを聞いた営舎のバカな学徒連中の一部が、連邦打倒の気運をいきまいていたからだ。もともと、ここに来た連中の中には、国を守るため、連邦を倒すため、という政治的なプロパガンダに乗せられているやつも少なくはない。
俺たちの戦闘が、そいつらと、その周辺のやつらに、活気を与えてしまったのは、喜ばしいことではなかった。中尉にしてみたら、そいつらを含めて守りたい、と思っているに違いない。だが、この様子なら、上層部の思惑通り、モビルスーツは撃破できなくても、隙を見て敵戦艦に特攻するくらいのことはやらかすだろう。
まったく、こっちの気も知らないで、いい気なもんだ。俺は胸のうちに湧き上がる不快感を押し込んで、全員が集まっていた食堂をあとにした。
「アレックス!」
廊下に出た俺を呼ぶ声がした。振り返ったらそこには、ウリエラの姿があった。
「なんだよ、キリと一緒にいたんじゃなかったのか?」
「うん、でも、アレックスでて言っちゃったから、追いかけてきた」
俺が聞くと、彼女はそういって笑った。それから突然俺に抱きついてきて、ささやくように言った。
「爆発見たとき、死んじゃったのかと、思った…」
そう言った彼女の体は微かに震えていた。あぁ、あのときの、か。心配かけたみたいだな。すまない、ウリエラ…。
俺はウリエラの肩に手を置いて、反対の手で頭をなでてやった。
「大丈夫だ。お前をおいて死んだりはしない」
そういうと、ウリエラは無言で、コクっとうなずいた。
そんなウリエラを抱きしめてやりながら、しばらく彼女の気持ちが落ち着くのを待った。ウリエラは、臆病で、誰にでも優しくて、普段は明るい、いい子だ。研究所でも、他の子どもたちや研究員からは格別に好かれていた。俺も、ウリエラのことが好きだ。いや、彼女をきらいなやつなんて、いやしない。いるとしたらそいつは、どこかで人格が歪んでいるに違いない。
しばらくして、落ち着いたのか、ウリエラは俺から体を離して、ニコッと微笑んできた。
「やぱり、アレックスはやさしいね」
「はは。まぁ、性分だろうな」
俺は苦笑いしか出なかったが、それでもウリエラは満足したように笑っていた。
「あ、ここにいたのか、ウリエラ!」
そう声がかかって、キリが姿を見せた。
「あ、キリ!ごめんね、ちょっとアレックスと話があって…」
申し訳なさそうに口ごもったウリエラの言葉に、キリがイヤらしくニヤついた。それから俺を見つめて
「悪かったね、邪魔しちゃったかな?」
となにか言いたげに謝ってくる。別に、なにも問題はないけど。
「ね、ねぇ、ほら、キリ!部屋に戻ってシャワーの準備しないと、時間になっちゃう!」
ウリエラはなんだか焦った様子で、キリをグイグイと引っ張ろうとする。
「あー、はいはい、わかったよ。んじゃぁ、な、アレク。今日はお疲れ!ゆっくりやすめよ!」
キリはそんなことを言って、俺の前からウリエラに連れられて立ち去った。なんだ、あいつ?やっぱり、なんだか少し、変わったやつだ。
俺はそんなことを思いながら、廊下を歩いた。士官用のエリアに入って、ドアのひとつをノックすると、中尉が顔を出した。
「遅くなってすみません」
俺が言うと中尉は笑って
「あ、いいのいいの。入って」
と部屋に招き入れてくれた。
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