過去ログ - まどか「もう大丈夫だよっ」まどか「あなたは……!」
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649: ◆D4iYS1MqzQ[sagesaga]
2015/02/02(月) 21:38:34.76 ID:HYOEK1K8o

ささやく。
瞳がガラス玉のように、生気を失っていく。

「私の本質は真似することだから。彼女の心だって、私は読み取ったのよ」
「つまりね……、これは、巴マミの本心に従った行動なんだよ?」

マミの瞳に、ふっと生気が戻る。
優しい暖かな光が表情に満ちる。マミは、さらにささやく。

「彼女はあなたに依存している。あなた無しではもう生きられないの」
「けど別に、彼女が自らそう望んだわけじゃないわ」
「他でもない、あなたが、彼女をそうしたのよ」

そんなはずはない。まどかは絶句していた。
まどかの眼前、唇も触れ合う距離に迫るマミの顔。巴マミは、鹿目まどか無しでは生きられない――。
そんなはずはない。そんなはずはない。そんなはずはないのに。

まどかは、口元に浮かぶ笑みを消すことが出来なかった。

それをじっと見つめたあと、マミは満足げに微笑んだ。
口の端がキュッとつり上がる。歯の隙間から漏れた吐息が、まどかの半開きの口内へ。
彼女は、さらにささやく。

「……自覚出来たわね」

「それじゃあ、もっといっぱい教えてあげるわ。彼女の一番の秘密、とか」

顔が元に戻らない。笑みはさらに深く、醜くなっていく。自覚していた。まどかは手で口元を隠そうとした。
しかし使い魔がサッとその手首をとらえ、優しく押さえつける。笑みが止まらない。

そして彼女は、さらに囁く。
まどかはごちゃまぜの感情の中で、もう聞きたくないと思った。
これ以上聞いたら、先輩の前でどんな顔をすればいいか、いや二度と顔を合わせられない。そう思った。

しかし彼女は、ささやいた。

「彼女は……いいえ。わたし、は――――」

上下の唇が糸を引いて離れる。最後の一言を告げようとする。
まどかは目を閉じて首を振った。わずかな間を持たせて。しかしすぐに――。


「ちょっとちょっと――――」


重なる声。同じ声。


「勝手に人の秘密をバラすのは、よしてもらえるかしら?」


マミの身体にリボンが巻きつく。リボンが振られ、彼女を投げ飛ばす。
椅子を巻き込み、破片を撒き散らしながら、部屋の壁に激突する。
マミは絶句した。いや、彼女はマミではなかった。

カチャ、と割れたガラスを踏む音。
砕け散った窓の、緑色の枠を踏み越えて、声の主がやってくる。
夕暮れの中から溶け出たような、憂いを帯びた色調。
その目には覚悟の光。金色の巻き毛を春風に揺らして立つ。

「私の名前は巴マミ。見滝原中学の三年生で―――魔法少女よ」


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