過去ログ - オリジナル小説【現代ファンタジー】
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62:以下、新鯖からお送りいたします
2013/09/21(土) 20:29:23.21 ID:FkLb1xlW0
「メロ、お姉ちゃんね、怖いんだ」
「……うん」
 二人の体は、嘘偽りなく恐怖で震えている。
「本当は、逃げ出したいんだ」
「うん……」
 彼女の言葉にも、嘘偽りはない。
「でもね……」
 だが、魔術士は意志を貫きとおすから魔術士なのだ。
「一つだけ言わせて」
「うん。私も」
 だが、感情持たぬキメラには、それが理解できなかった。いや、理解しようともしていなかった。
 だからこそ、自らの敗北の原因となる瞬間を見過ごしたのだ。
 二人が会話を続けている間にも、キメラのパーツはメロの結界に叩きつけられていく。
 そんな中、マートはメロに背を向け、キメラの方に向き直る。
 そして、短剣を振り上げ……
『大丈夫、私がついてる』
 姉妹の声が、そして心が重なるという必然とともに、風の刃は放たれた。一瞬だけ開いた、結界の隙間を通り抜けて。



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