255:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:49:46.59 ID:7lT6AaiP0
そんな彼がここにいるのには理由があった。
イギリス清教として主義主張の異なる学園都市と対話に来ているのだ。
彼は、人を殺す事や人を生きたまま燃やすことにためらいが無い。
そんな彼でも、目の前の光景には何度見ても慣れない。
256:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:50:33.43 ID:7lT6AaiP0
「ここに来る人間は皆、私の在り方を観測し、皆同じ反応をするのだが、――」
ビーカーの中に浮かぶ『人間』は男にも女にも、大人にも子供にも、囚人にも聖人にも聞こえる声で言った。
「――機械に出来ることを、わざわざ人間がする必要は無いだろう」
257:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:51:49.22 ID:7lT6AaiP0
「ここに呼び出した理由はすでに分かっていると思うが――」
学園都市統括理事長『人間』アレイスターは厳然と告げた。
「――まずいことになった」
258:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:52:49.83 ID:7lT6AaiP0
吸血殺し(ディープブラッド)。
出典は学園都市のバンクではない。
英国図書館の記録からである。
いるかどうか定かでない『とある生物』を殺す。
ただ、それだけの能力。
259:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:53:26.93 ID:7lT6AaiP0
だが、あの時は?
ステイルは二週間程前に行った『殺人鬼』との戦闘を思い出す。
何故、あの戦闘は例外的に許されたのか。
ステイルの知らないところで何かしらの取引があったのか、あの少年がレベル0であったためかも知れない。
260:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:53:55.51 ID:7lT6AaiP0
「それで、問題となる『戦場』の縮図だが」
どういう仕組みか、暗闇の中に直接映像が映る。
浮かび上がったのは、どこかの何の変哲もないビル。
見取り図の端には、『三沢塾』と整然とした文字で記されている。
261:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:54:33.83 ID:7lT6AaiP0
ステイルは違和感を抱く。
そもそもオカルトを信じないこの街ならば、『とある生物』も信じないのではないか? と。
「とにかく希少価値がある、と認められれば話の種ぐらいにはなるだろう」
262:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:55:27.70 ID:7lT6AaiP0
「君達にとっての『天敵』を一つ、私は保有している」
その言葉にステイルは硬直した。
『幻想殺し』。いや、『殺人鬼』と言った方がいいのだろうか。
263:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:56:14.03 ID:7lT6AaiP0
このタヌキが。
ステイルは初めて目の前の『人間』に敵意に似た感情を持つ。
『彼』が無価値である筈が無いのは正面からぶつかったステイルにはよく分かる。
たしかに、『あの力』を理解し教会に持ち込むことは不可能だ。
おそらく学園都市側もそうであろう。
264:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 17:56:39.77 ID:7lT6AaiP0
「吸血殺し……」
呟いたステイルの顔は解けない謎に直面した学者のそれであった。
『ある生き物』。
265:土蜘蛛[sage saga]
2013/10/20(日) 18:03:31.52 ID:7lT6AaiP0
安っぽいファーストフード店の二階にある窓際の四人掛けの禁煙席。
上条はそこに座っていた。
どうしてこうなっている、と上条は天井を仰ぐ。
上条の他に座っているのはインデックス、青髪ピアス。
――そして、巫女さん。
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