過去ログ - 『「雨だ……」』
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828: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:44:34.49 ID:25c1NsJp0
少女「(まず初めにお母さんの誕生日を1番目だと仮定してやってみよう)」カチャカチャ

少女「(……開かない。なら今度はお母さんの誕生日を真ん中にして)」カチャカチャ

少女「(開かない。…………ああ、本当は試してみるまでもないことはわかってた。この選択肢の中でお母さんが自分を優先するわけがないから)」
以下略



829: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:45:05.89 ID:25c1NsJp0
カチャリ

少女「開いた……」

少女「な、中身は……え? "何も書かれてない"?」
以下略



830: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:45:42.50 ID:25c1NsJp0
―自宅―

少女「すごい……冷蔵庫に入れたら文字が浮かび上がってきた、どういう仕組みなんだろう…?」

少女「よし…読もう」
以下略



831: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:46:21.92 ID:25c1NsJp0
《まず始めにこれほどまでに面倒な手順を踏ませたことを少女に詫びたい。何故こういった手の込んだ過程が必要だったかと言うと、このメッセージは"私の心情を真に理解した"少女にだけ受け止めてもらいたいからだ。》
 
《例えば第三者やお前がメッセージを解かずに鍵を物理的に破壊した場合、このノートは何の価値も持ち得ないだろう。本文は熱を加えることにより消色する特殊なインクで記述されている。》

《これは私が個人的な趣味で偶然開発したものであり、克つこれと同様な性質を有した筆記用具の存在を私は現時点で確認していないから"冷やすことで隠された文字が浮き上がる"という発想に至る人間はいないだろう。例え第三者がこのノートには隠されたメッセージがあるかもしれないという発想に至ろうが蜜柑の汁を炙り出しするようにはいかない》
以下略



832: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:47:30.63 ID:25c1NsJp0
《今、お前がこのメッセージを読んでいるとしたらそれは奇跡に違いない。何故ならこのノートを読むことの出来る時間は私がお前の元から消えてから、私が"計画"を完遂するまでの数週間でしかないからだ。》

《実はその洞窟にある枯れ草で出来た寝床の下には時限発火装置が隠されている。私が計画を終える時間に作動するように設定してあるため、本で埋め尽くされている洞窟は炎に包まれ自動的にこのノートも消失する。》

《何故このような仕掛けを用意したかといえば、それは私がこのノートに書かれた真実をお前に知られることを心の底から恐れていたからだ。》
以下略



833: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:48:18.85 ID:25c1NsJp0
《さて、以下の文では真実を綴ることにする。それは少女にとって紛れもなく残酷で身を引き裂かれるような事実の列挙になる。しかしここで語らねば人々の手によって真実は歪められ、断片的な事実しかこの世界には残らないだろう。》

《もしお前が真実を拒絶したければこのノートをいつぞやの手紙のように破り捨て忘れてほしい。でももし、お前が本当のことを知りたいのであれば、是非読んで欲しい、受け止めて欲しい。私の過去と未来の罪を。》



834: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:49:11.80 ID:25c1NsJp0
《お前がこのノートを発見したという事は、メビウスが洞窟から姿を消していることに気付いたはずだ。だが勘違いしないでくれ、彼は決してお前を見捨てたわけではない、むしろお前を助けるために今もなお苦しみに喘いでいる。》

《メビウスが洞窟から姿を消す直前、私はこの国の上層部に恫喝されていた。》

《国王を救うため不老不死になる方法を教えるか、少女の身を引き渡すかどちらを選ぶかと。》
以下略



835: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:50:23.46 ID:25c1NsJp0
《ならば少女の身代わりに私がなろうと考えた、だがそれも無理だった。何故ならメビウスはお前に飲まして以来私に決して血を譲ろうとしなかったのだ。そのため私が不老不死になりこの身を捧げることは適わなかった。》

《少女を奴らに引き渡さないためには不老不死になる方法を教えるしかない。しかしそれはメビウスの存在を奴らに漏らすことと同義だった。人間である少女ですら解剖にかけようとしている奴らに竜などという余りに魅力的な研究対象を知られてしまったらメビウスがどんな恐ろしい目に合うかは想像に難くなかった。》

《私はこれまでの人生の中でかつてないほど悩んだ、少女とメビウス両方を救うにはどうすればいいか。しかしそれらを考えるには余りに時間が短すぎた、なにしろ恫喝された次の日までに答えを出さなければ強制的に少女を連れて行くと言われていたのだ。冷静な判断を行う時間を奪われた私はいつしか愚かにも、"どちらも救うにはどうすればいいか?"ではなく"どちらを救うべきか?"という愚問に取り付かれてしまった。》
以下略



836: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:51:32.31 ID:25c1NsJp0
《今現在彼はとある街の研究所に幽閉されている。そこでどんな非人道的な実験が行われているかについてはここでは記さない、彼も知られたくないだろう。》

《ただ彼はその実験を受け続ける苦痛から私達のために決して逃げ出さずただひたすらに耐え続けるのだろう。だから、誰かが、彼を救わねばならない。》

《彼を救う責任が誰にあるかは語るまでもないだろう。》
以下略



837: ◆yJ9Y64R876[saga]
2014/07/21(月) 01:52:31.25 ID:25c1NsJp0
《ここで少し話を変える。》

《ここ最近私が家を空けることが多かった理由は、とある兵器の開発に勤しんでいたからだ。その兵器とは端的に言えば爆弾のことだ。》

《何故私がそんなものを作っていたかについては後で触れることにして……この爆弾だが既存の爆弾にはない新物質が火薬として使われている。その新物質とは、》
以下略



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