30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/04(金) 12:59:05.58 ID:C20G8sY80
だが、あの時僕にハロウィンぷちデビルが囁いた。
『エビで鯛を釣るって名言だよね!
CDの印税があれば一生楽できるんだよね? プロデューサーの言葉を信じてよかったよ〜。で、印税はいつ貰えるの〜?』
それが悪い事だとは気付いていた。でも彼女には才能が有った。
摩耗し欠片も消え失せていた筈の―――灰の中に眠る種火の様な僕の薄暗い野心を実現へと導く、悪夢の様な才能が。
『飴をあげるからポーズをつけろって言われてもヤダよ〜、――は飴なんかじゃ動かない……。
えっ、飴2つくれるの? そ、そうなんだ……2つもくれるんだ…………いぇい☆』
ニートショック 僕がみくと担当を交換した新人アイドルが引き起こした社会現象だ。
ほんの100日の間ではあったが、新人アイドルが全国区の人気者となった前代未聞の出来事である。
『春だねー……あっ、今日はファンの皆に報告があります!
――、CDも出したし! LIVEもいっぱいしたし! 結構楽しいアイドル生活だったけど! 印税貯まったから! ――、アイドル卒業します!』
彼女は大金を手にし、芸能界を嵐の様に通り過ぎた。
『この厳しい芸能界、トップを目指すならプロデューサーは本気を出すべきだよ! ――の力を借りる時期はもう卒業だね!
まあ、建前は置いといて今日は改まって話があるんだ! ちょっとソコ座って! ……智絵里はさプロデューサーの体が心配だったんだよ。
偉くなればさ、仕事を選ぶ事だってできるでしょ? もう嫌な相手に頭下げなくても済むんだからさ、プロデューサー休養も大事な仕事だよっ!!』
P『君の目に映る僕はそんなに小さい男なのかい?』
『情けない人だよね、ホント。働かない自由だってあるはず!
昔からずっと独りで頑張る必要なんてなかったのに、そんな簡単な事にも気付けなかったんだから。
プロデューサー、困った時はお互い様だよ。こっちを見て、抱き寄せて、目を合わせて。
嫌なんだ。ふ〜ん、そっか。まあ――にとってはどっちでも良いんだけどね。やっぱり――は必要悪だったんだよー!!』
そして僕は第1四半期最高益を上げた手柄と引き換えに、チーフプロデューサーへと昇格を果たした。
チーフとなってからは個別のアイドルの担当は部下へと任せるようになり、やがて現場へ出てアイドルの顔を見る事も無くなった。
そう、僕はもはやプロデューサーではなくなったのだ。
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