103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:33:47.63 ID:GkrSYZZD0
25
「はぁ……」
104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/11/10(日) 23:35:10.24 ID:CN2ELeogo
黒井ヴィンセントって訳ですね
105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:36:37.21 ID:GkrSYZZD0
そこから、彼女の戦いが始まった。周りの大人達は狡猾にも、両親を亡くした哀しみに付け入るように、彼女の手元に残された莫大な遺産を狙った。哀れみをもって口先だけの言葉を並べ、擦り寄るように諂い、浅ましく卑怯な手を使ってきた。
彼女には、両親の死を嘆き、哀しむ暇などなかった。ただ、母の遺した遺産を、母が守ってきたオルコット家の名を守らねばならなかった。その為にあらゆる勉強をして、どんな事にも屈せずに戦ってきた。幾度となく人を欺き、時には血を見る事になった。
無情にも、一息つく間もない程に時間は過ぎていった。そして彼女は、自分の特殊な才能に気付いた。勉強の一環として受けたIS適性テストでA+が出た。その才能に着目した政府が、優秀な人材を自分達の国に捕まえておこうと様々な好条件を出してきた。政府からの援助があれば、まとわり付く金の亡者共から母の遺産を守れる、そう考えた彼女はそれを承諾した。そうして、第三世代装備ブルーティアーズの第一次運用試験者に選抜され、稼働データと戦闘経験値を得る為に日本にやってきた。
オズの魔法使いのカカシ。脳がないから自分で上手く踊れない。だから風に吹かれながら、揺られながらも必死に、単調な踊りを踊る。そして、上手く踊れるように脳が欲しいと嘆く。そんな愚かに見えるカカシが、まさに自分そのものだった。
今思えば、自分はオルコット家という広大な土地を守りながら、常に周りの大人達という風に哀れにも踊らされていただけで、自ら踊ろうとした事などなかったのではないかと思う。誰も彼もが自分を、セシリア・オルコットとして見ていた。それはオルコット家の後継ぎであるセシリアであって、ただのセシリアである彼女自身ではなかった。だが、あの男は違った。
106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:38:53.75 ID:GkrSYZZD0
26
IS学園の地下五十メートル。そこは通常の手続きで入る事は出来ない。それどころか、レベル4以上のIDを持った一部の人間しかその存在を知る事はなかった。ここがIS操縦者育成機関である事が建前である以上、この隠された空間の存在は隠蔽されている。
107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:41:53.99 ID:GkrSYZZD0
「現時点で分かった事はありますか?」
「はい、まずは………」
108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:45:43.34 ID:GkrSYZZD0
「すいません、山田先生。こんな夜遅くまで付き合わせて」
千冬は深く頭を下げた。
109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:46:57.70 ID:GkrSYZZD0
その部屋は、普通で平凡、全くもって地味な部屋や必要最低限の物しか置かれていない部屋に比べると飛び抜けて奇妙奇天烈だった。
部屋一体を埋め尽くす機械の備品、鉄くずなど、恐らく発明品と思われるガラクタ、明らかに場違いな薬莢や分解されかけの武器やそのパーツ、金属の塊などがあって足の置き場が見つからない。そして、その中に混じって大量の機器に繋がれているケーブル達が所狭しと蹂躙し、巨大な要塞を形成していた。その難攻不落の巨大要塞向こう側には、分割された大量のモニターがあり、その前に置かれている机には一人の女性が俯いていた。
長く伸びた雲気のような色の髪は、普段の手入れを怠ったのかボサボサになっている。そして、空の色をそのままに染めたような鮮やかな青のワンピースにはエプロンと背中には大きなリボンが、頭に着けているカチューシャは何故か白ウサギのような耳がついている。
奇妙奇天烈な部屋の主は、部屋の状態以上におかしな格好をしていた。そのおかしな人物の名は、ISの生みの親『篠ノ之 束』そして、この部屋は彼女の秘密ラボである。
110:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:53:33.76 ID:GkrSYZZD0
「どっせーい!よっしゃっ、あったー!」
机の上を一掃して探していた携帯をようやく発見し、電話に出た。
111:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:55:29.27 ID:GkrSYZZD0
訳が分からなかった。どうにかなってしまいそうだった。確信が大きく狂ってしまった。
頭脳停止
諸々の判断不能
112:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:59:14.99 ID:GkrSYZZD0
『一つは謎のIS、ヴィンセントだ』
「ほう……」
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