過去ログ - 一夏「祈るがいい」
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93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:07:40.87 ID:GkrSYZZD0
形勢は逆転した。命令を受けた四機のビットたちが、多角的な直線機動を描いて一夏の四方を取り囲む。 この時一夏は、まだマガジンを交換し終えていなかった。

「協奏曲(コンチェルト)!」

セシリアの指示により、各ビットに組み込まれた小型端末が作動した。これにより連射性能を高め、それに伴うレーザー出力の調整が行われ、敵を囲むフォーメーション機動がより正確に使えるよう補助機能になった。
以下略



94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:11:11.95 ID:GkrSYZZD0
セシリアは、倒れた一夏の状態を確認するために高度を落とした。そして、ライフルを構えながら、少しずつ、一夏の様子を注視ながら接近する。今倒れている一夏の右手に銃はない、さっきの攻撃の衝撃で右手を離れていた。それでも、警戒は怠らない。もしもの時の為に、ビットをいつでも撃てるように展開している。そうまでしても、相手が戦闘不能に陥ったか否かを確認しなければならない。先ほどの一瞬で、この男が只者でない事が分かったからだ。
張り詰めた緊張感の中、セシリアはトリガーに指を掛け直し、小さく深呼吸をした。そして、一夏の眼前に銃口を突き付けた。
一夏の反応はない。前髪が目にかかっていて覚醒しているのか、気絶しているかどうか分からない。次はハイパーセンサーを使い様子を伺う。そして、知覚された普段なら分からないようなかすかな呼吸音を感知。そこにブレはなくただの呼吸をしているだけ。その事から、一夏が不意打ちを狙って倒れているのではなく、本当に倒れている事が分かった。

「協奏曲だけで閉幕(フィナーレ)とは……意外とあっけないものでしたわね」
以下略



95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:13:12.67 ID:GkrSYZZD0

「何よりちっとも面白くありませんわ。あの程度では」

セシリアは、もう一度ライフルを左手に呼び出した。

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96:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:14:18.32 ID:GkrSYZZD0

「一夏!!」

モニターを見つめていた箒が思わず叫んだ。先程一夏が動かなくなった時はまだ、平静を保っていられた彼女だが、今回は違う。ISによる攻撃ではなく、ヴィンセントに装備されていた物による爆発、それも見て分かる程の大爆発が起きたからだ。

以下略



97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:17:04.96 ID:GkrSYZZD0
爆発の熱気と渦巻く黒煙の向こうに、それらしき人影があった。それは、先程とは全く違った姿で、そこに悠然と立っていた。


それは、黒かった。
既存のISとは全く異なった細身の機体。
以下略



98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:19:53.50 ID:GkrSYZZD0

「オズの魔法使いの………カカシを知っているか」

一夏は、全く表情を変えないまま言葉を口にした。

以下略



99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:22:28.44 ID:GkrSYZZD0
命令を受けたビット四機が、さっきとは全く別の多角的直線機動で目標へと動き出す。だが、それはすぐに終わった。瞬く間に一機、二機、とセシリアを離れたビットが、激しい一瞬の銃撃戦を繰り広げ、なす術なく破壊されていく。そして、ようやく側面にたどり着いた四機目のビットが一夏を撃った。だがそれは、回避動作により向けられた追加装甲によって逸らされ、同時にビットへ接近した一夏が握り潰した。

「ブルーティアーズが……!」

一夏は、バラバラになったビットを捨てた。それは、セシリアが意識を覚醒させようとした事が災いした。それにより生まれた隙が、唯一の好機であるリロードの一瞬を逃す結果となり、一夏の攻撃を許したのだ。
以下略



100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:25:53.01 ID:GkrSYZZD0
今のセシリアは、何かが違う、どうかしてしまったようだ、と自分でもそれがはっきりと分かった。自分の勝利を確信している中で戦い続けてきた彼女の、その一挙一動が、純粋に、目の前の相手を倒す事を目的としている。
不思議と胸が、強く高鳴っていた。それは、彼女が長い間忘れていた感覚だった。
もはや相手が男であろうが、女であろうが関係ない。自分はただ、この勝負に勝利(かち)たい。
それだけを、心から願う。

以下略



101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:28:14.97 ID:GkrSYZZD0
黒煙から、何かの塊がセシリアへと飛んできた。それを反射的にブレードで弾いて確認した時、それが一夏の持っていた拳銃のマガジンだとようやく分かった。その瞬間、黒煙から現れた一夏がセシリアへと銃を構えていた。
二人の発砲は同時だった。弾丸がセシリアのブレードを破壊し、ミサイルの下をギリギリで潜り抜けた一夏は眼前のミサイルビットの銃口に拳を喰らわせて破壊した。そして、こちらを向いた腰部のビットを蹴り飛ばし、セシリアの眼前に少なくとも五十口径はあるであろう銃口が突き付けられた。
その時、決着を告げるブザーがアリーナに鳴り響いた。

『制限時間終了、シールドエネルギー残量により』
以下略



102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/11/10(日) 23:31:59.67 ID:GkrSYZZD0
一夏のが、千冬や真耶、箒の待つAピットへと戻ってきた。
展開されていたヴィンセントが、一瞬光った。そして、その光が一夏の掌の中に集まって小さくなり、ドックタグとなって姿を変えた。その小さくなったISを、一夏は見つめていた。

「まったく、色々とヒヤヒヤさせる。一応はまともな試合になっただけでも良かったが……あの時の二の舞だけはやめろよ」

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