過去ログ - カカシ「春野サクラ……!」
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4: ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2013/10/14(月) 15:08:05.04 ID:BLnFpW2L0
暗がりの中をモソモソと動き、鋭利な凶器と化した床を箒を左右に滑らせながら歩く。そのときには、すでに俺の両足は血まみれになっていた。真っ先に靴を玄関に取りに行けば、もっと楽だっただろう。
それを選ばなかったのは、単純に怖かったからだ。まだ扉の外にアイツらがいるかもしれない。そう思うと玄関に近寄ることなど出来なかった。
仕方なく台所にあった大嫌いなビニール袋を足に履いて、明かりが灯らない廊下を進んだ。立っているだけで激痛が走ったが、なにかやっていないと、どうかしてしまいそうだったのだ。
破片がぶつかり合う高い音と箒が床を擦るザッザッという音、それにビニールの不愉快な音が重なり、いつしか足の痛みも忘れ単調な騒音だけが頭を支配する。きっと、俺なりの自衛であり現実逃避だったのだろう。だから、誰かがドアを開けた音さえ、俺は気がつかなかった。

「カカシ……」

大人の声が背後で突然響く。度肝を抜かれた俺は、聞き慣れた声だとも気がつかず反射的にクナイを構えた。そんな俺を見て、父さんは悲しそうに呟いた。

「………ごめんな……」

俺は、父さんの姿を見てやっと涙が溢れだした。箒はいつの間にか手から滑り落ち、痛覚を取り戻した足を引きずって、地獄に現れた唯一の味方にすがり付いた。このままいつまでも何も考えず、父さんに抱きついて泣いていたかった。
もしかしたら父さんも泣いていたのかもしれない。暗くて顔はよく見えなかったが、体が小刻みに震えていたのを覚えている。
鬱陶しく泣きじゃくる俺を父さんは嫌がることなく、朝まで抱きしめていてくれたんだと思いたい。でも、実際はどうだか分からない。

いつの間にか泣き疲れて寝ていたらしく、やっと目が覚めた時には、父さんはすでにクナイで首を切り裂き自殺していた。冷たい体から、血液が一滴残らず排出されたのかと思うほど、床一面が赤く染まっている。壁にも血飛沫が飛んでいた。
静まり返った部屋を、朝を告げる小鳥の鳴き声だけが、いつも通り響いていた。


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