31: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/22(火) 01:19:13.78 ID:eLT1eDY5o
『……むちゃくちゃじゃないかな、あの人』
別に糾弾するわけではないし、パワハラというわけでもないが、あの社長はどこか型破りというか、あまりスタンダートな方法は用いないように思える。
それが、僕にとってはかなり危ういものに思える。定石というものはつまらない、などと言われることもあるが、それはその定石というものがもっとも安定して成果を上げることができるからだ。
32: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/22(火) 01:20:21.67 ID:eLT1eDY5o
(それはそうと、この資料はなんだろうか)
僕は、社長がかき集め、そして束ねた資料を一枚一枚めくり、そして眼を通していく。
どうやら、とある小さなプロダクションの資料らしい。ぱっと見たところ、アイドルやタレントの人数はそこそこいるが、圧倒的に人員が足りていないように感じた。
33: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/22(火) 01:21:59.84 ID:eLT1eDY5o
本日の更新は以上です。少し短いですがご容赦をください。
次回の更新は、可能であれば週半ば木-金曜日を予定としています。
それではここまで読んで下さりありがとうございました。
34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/22(火) 07:59:21.41 ID:p1U2W/ppO
乙
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/23(水) 09:22:06.00 ID:oUJG/mfTo
これはひょっとして六感の事務所かな?
36: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 15:58:17.04 ID:DkuGHhzUo
『……全くもって、理解しがたいけれど』
僕は知らず知らずのうちにそう呟いていた。それには大きな理由がある。
――社長がスカウトの旅から帰ってきた翌日、僕は社長室へと呼び出されていた。
37: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 15:58:43.65 ID:DkuGHhzUo
『失礼ながら……。僕はまだ新入社員です。幾らなんでも、新人を出向社員に用いるのは少し常識はずれと思いますが』
しばらく理解が追いつかなかった僕ではあったが、やがてゆっくりと、確認するように僕は抗弁する。無論、理由はそれだけではない。
基本的に出向社員は、よほどのこと――事故や病気などがない限り、契約を解消して仕事を辞めることが出来ないのだ。当然といえば当然である。つまり、あっさり辞めることが出来ないのだ。
38: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 16:00:07.03 ID:DkuGHhzUo
「それと、出向先のプロダクションから一名、スタッフを引き抜くことにした。今回の出向は欠員を補充する期間を設けるためのものだ。君を売ったつもりは無いが、そういう結果になったことは申し訳なく思う」
『……それは、まあ、大いに結構なことです。社員は企業の財産であり、交渉のカードになりうるものですから』
本心からそういうことは出来ないが、僕を一時的に手放すことで、大きな駒を手に入れることが出来るのであれば、社長のやり方は批判できるものではない。
39: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 16:00:32.30 ID:DkuGHhzUo
……なんとまあ、信じられないほど非論理的な答えが返ってきたので、この日二度目の閉口を、僕はしてしまった。
そんな人を獲得するために、僕というカードは切られたのか。人によっては傲慢に聞こえるかもしれないが、僕としてはそんな人よりよほど仕事が出来る自信はあった。
プライドが高いつもりは無いが、より劣る人材を獲得するために、より勝る人材を一時的とは言え手放す社長の考えが、僕には理解できず、
40: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 16:01:12.31 ID:DkuGHhzUo
『……全く、気が重いなあ』
そんな出来事が数日前にあったばかりなのに、気が軽いわけもなく、僕は小さな雑居ビルの前で、そのビルを見上げていた。
中小プロダクションという名前の芸能プロダクションで、社員数は僅か五名。社長を合わせて六名にもかかわらず、三十名近くのアイドルやタレントを抱える企業のようだ。
41: ◆m03zzdT6fs[saga]
2013/10/25(金) 16:01:40.95 ID:DkuGHhzUo
ともかく、今日から本年度末まではこの会社で働くことになるのだ。どんな仕事が割り当てられるかは分からないが、芸能プロダクションにおける実務は、初めての経験になる。
それに関しての心配はない。研修が簡単な業務で、本物の業務がもっと難しいだろうことを差し引いても、ある程度こなせるだろう。
強いて言うなら、年度末まで自分の意欲が持つかどうか、だ。極力無責任なことはしたくはない。持ってもらうことを祈るしかなかった。
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