過去ログ - 安価でシークレットゲーム7
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232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/15(金) 12:57:49.73 ID:o9K3eon50
 だからもう帰ってよ、俺理由もなく誰かを殴ったりするのやめたんだよねー」

そう、これは『理由もなく暴力振るう子は嫌い』と言った前川染香(女子十六番)に認めてもらうために決めた、自分との約束。

「知るか、テメェになくても俺らにはあるっつってんだろうがッ!!!」

幸太郎の事情を知るわけもない5人は、幸太郎に襲い掛かってきた。
どうしようかな、殴られたくないから殴るっていうのは染香サンに嫌われたりしないかな――呑気にそんなことを考えていた時だった。
幸太郎の前に、傷だらけの未来が立ちはだかったのだ。
傷だらけの小柄で愛らしい少年が出てきたことに驚いた5人は、振り上げた拳を止めて、互いの醜い面を見合わせた。
ニキビ面の男が未来の胸倉を掴んだ。

「何だよチビ、テメェには関係ねぇだろ?
 それ以上怪我したくなかったら退がって――いてててててっ!!!」

ニキビ面が苦痛に満ちた悲鳴を上げた。
未来が自分の胸倉を掴んだニキビ面の右手を捻り上げたのだ。

「…喧嘩は、駄目だよ…みんなが痛い思いするだけじゃない…
 コウちゃんは謝ったでしょ、だから喧嘩はやめようよ、ね?」

「ふざけんなチビ、謝られたって俺らの気が済むわけねぇだろうが!!
 俺らはなぁ、八尋をボコらねぇとスッキリしねぇんだよッ!!」

「じゃあ、代わりに僕がボコられてあげる。
 もうコウちゃんと喧嘩しないでくれるなら、好きにしていいよ」

幸太郎は目を見開いた。
未来の言っていることが理解できなかった。
自分のせいで、どうして無関係の未来が殴られなければいけないのだ。
もうこんなにも傷だらけだというのに。

しかし、相手も未来の行動を不気味に思ったようで、言葉を交わし合うと、「今日はやめといてやるよ、覚えとけよ!!」と捨て台詞を吐いてどこかへ行ってしまった。

その様子を幸太郎は呆然と見送っていたのだが、我に返ると未来の両肩を掴んだ。

「馬鹿未来、意味わかんない!!
 あれは俺が売られた喧嘩だよ、なんで未来が殴られることになるの!?」

「だって、コウちゃんが傷付いちゃうじゃない。
 勝ったって負けたって、喧嘩したらみんながどこかに傷を負うんだよ。
 そんな悲しいこと、やらないで済むならいいじゃない?
 …僕が殴られるだけで全てが終わるなら、それでいいんだよ。
 まあ、結果的にあの人たちが殴るために使う手も傷付かなかったから万々歳だね」

未来はにっこりと、と言うには程遠い哀しげな笑みを浮かべた。

わけがわからない。
人が傷付かないなら、自分が傷付いてもいいの?


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