247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/16(土) 04:59:24.98 ID:9R8BLELQ0
あたし――小南香澄には夢がある。
それは、小説家。
デビュー作は絶対に笑いアリ、涙アリの学園モノ。
モデルはある。
もちろん、今までで最高のクラス、篠中3年4組。
「今朝の抜き打ち小テストを返すよ、取りに来てね!」
そう言ったのは女子委員長、駿河透子。
明るく優しいしっかりものの委員長。
小説に書けば、あの人はまともだから笑い話の場面では目立たないだろうな。
「うっわ、ツネ、5点だって、バカだな!!」
「何だと…? テメェだって6点じゃねぇかよ、ボケッ!!」
ほら、今日もネタが転がってる。
あたしはポケットに入れてあるメモを取り出して、情景を克明に記録する。
小テスト片手に胸倉を掴み合ってるのは、不良男子の2人。
体は小さいけど明るさはピカイチ、栗原佑。
見た目は怖いけど彼女さんには優しい、新島恒彰。
笑い話の場面では中心に立ってくれそうな2人組。
「ケッ、1点勝ったからテメェは最悪のバカなんだよ!!」
「うるせぇ、なんだよ漢字ちょっと間違えただけだっつーの!!
それさえなければテメェに勝てた!!」
「見直ししろって先公が言ってるだろうが、人の話聞けよバーカ!!」
「テメェだってしてねぇだろうが、何だよ『戒ぬる』って!!
『ぬ』じゃなくて『め』だっつーの、脳みそねぇんじゃねーの?!」
日常茶飯事の口喧嘩だけど、いつ聞いても笑える。
クラスメイトたちも笑ってる、このクラスが明るい原因の1つかな、これ。
「5点に言われたくねぇよ、バーカ!!」
「知ってたか、バカって言った方がバカなんだよ、このバーカ!!」
「ケッ、テメェなんて3回もバカって言ってるぜ、究極のバカか!?」
「ああ゛? 全部足せばテメェの方が多いぜ、バカの神様か、テメェは!!」
「ざけんなよテメェ…っ!!」
「「テメェの方がバカだっつーの!!」」
2人の声が揃った。
クラスメイトたちが一斉に笑い声を上げる。
あたしの考えでは、この2人は気が合うと思うよ、頭のレベルとかも含めて。
「まーたやってるけどさ、いい加減ガキレベルの喧嘩してるって気付いてほしいよね」
あたしの横で溜息を吐いたのは、成績優秀スポーツ万能容姿端麗性格最悪な不破千尋。
何考えてるかわからないから、文章で表現するのは難しそうだなぁ。
「香澄チャンはまたメモってるの?」
「まあね、ネタはどこに転がってるかわからないのだよ?」
「ふーん… まあ、とにかくあの2人は笑い話専門だね、というかバカ専門?」
「もちろん、わかってるね、不破君っ」
ああ、とうとう殴り合いの喧嘩になっちゃった。2つの不良グループの中では大人しい池田圭祐と無口な設楽海斗が止めに入る。
あ、あーあ、池田君が巻き添え喰ってる…あたし、結構好きだよ、2人の喧嘩。ずっと見てたいな、笑いネタが絶えないからね。2人の話だけで1つ話が書けちゃうそうだよ、ホント。
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