過去ログ - 安価でシークレットゲーム7
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282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/23(土) 06:46:45.61 ID:Yq2Noa/q0
僕らは乱れていった。 だから、空に手を伸ばした。 そんなことは駄目だと分かっている。 僕等は生きるべきなのに。 中居 螢太は大部屋で自分を傷つけるような事を言い続けていた。 只、一人残された者は遠くへ行ってしまった者を思い続けるしかなかった。 藍瀬 輝々から「やめろ」と言われていたがそれでも自分を傷つける事をやめなかったのだ。 何故だろうか、死とはこんなにも重過ぎるとは誰も思わなかったのだ。 少なくとも、最初のうちには。 認めたくなかったんだ。 もう、いないことを。 「世界を愛する者さん」 突然声をかけられ、螢太は思わず声を出してしまった。 振り向くと、静木 青がいた。 青は何かを抱えていた。 それを螢太は注目しようとした。 すると、タクだということが分かった。 だが、いつもより元気が無かった。 「雨に打たれてたよ。君と拓が病院に運ばれた時、その猫、ずっと雨に打たれてた。中居君を待ってたみたいだよ?このままだと駄目かもしんない。」 言われてすぐ、青からタクを強引に抱いた。 「…タク」 「タク?それがその猫の名前?」 青が言った事に螢太は頷く。 「そう、タクか、いい名前だね」 そう言って青は「じゃぁ」とそれだけ言ってさっさと出た。 螢太は呆然とタクを抱えたまま、立ち尽くしていた。
「にゃぁああ」 タクが鳴いている。
それに螢太が反応した。 「タク…」 拓と同じ名前をつけたこの猫をこれからどうすればいいのだろうか? 螢太はずっと逸れを考えていた。 暫くすると螢太に笑顔が戻った。 そうだ、こいつを家族にすれば良い。 動物でもなく友達でもなく家族にすりゃいい。 そしたら俺にも未だ生きる資格があると思われる。 「…餌あげよーか?タク。」 「にゃぁあ」 「あはは、わりーな?俺右足怪我しちゃったんだぜー?」
「にゃーにゃー」
「だっ;いてぇえ!こらタク!右足に触るなー!」

「ど?中居」
「どうやら戻ったみたい」
「なら、いい」
なんやら螢太について話し合っている二人がいた。
静木 青と藍瀬 輝々だった。
「何で協力してくれたの?今の君なら『ほっとけば治る』とか言うと思ったよ?」
「別に…どうでもいいだろ、そんなこと」
「よくないよ、今の君は飛べない悪魔さん状態になってる」
輝々は少し反応した。
「やっぱり、立ち直る事が出来ないんだね」
「五月蝿い、その口、縫いつけてやろうか?」
「ったくもー本当のことなのに。何でそう云う事言うかな」
「五月蝿いて。黙れ」
完全に輝々は輝丹を失った途端、急激に変わってきていた。
青はため息をついた。
「ホントに勇気ある勇者さんは変わったねぇ…」
「ひとつだけ聞いて良い?」
「なんなりと」
聞かれて青は少し苦笑した。
輝々は俯く。
「何で、輝丹、微笑んだんだ?」
そう、葵 輝丹の死に顔。
とても優しくて逆に切ないあの笑顔。
青は少し微笑み、こう言った。
「これは僕が考えている事だけとね。輝丹は皆といられて良かったって思ってたんじゃないのかな。あとは笑いたくても今まで笑うことが出来なかったらしいからせめて、最後はどうにか笑えたんじゃない?最初で最後の笑顔。それだけは言えるよ?」

「こーすけー卵とってーvv」
「あ、あぁ、分かった」
相野 輝己と月下 香介は昼食の準備にかかった。
そして、香介が卵を2個とり、輝己に渡した。
輝己は器用がいいからか、卵をきれいに割って見せ、
箸を持ち、かき混ぜた。
「こーすけー、中居君立ち直ってくれるかなぁ?」
「多分、立ち直ってくれると思うよ」
「ならいいけど、心配だなーこーじもどうなんだろ…」
「さぁ…」
「気長に待てば立ち直るのかなぁ。あ、こーすけもうすぐクリスマスだよね!」
クリスマスだと微笑む輝己に香介は軽く微笑んだ。
「明後日、終了式だな。2学期の。」
「あーvv出たいなー行きたいなーがっこーvv」
「無理、俺ら、入院してんもん、一応、これでも」
「むー行きたい行きたい行きたーいーvv」
「うっせぇ!」
「こーすけひどーいv」
そう言って、輝己は笑う。
香介もつられて笑った。
そして輝己は手を洗おうと手洗い所に近づいた。
だが、足がぐらつき、輝己は眠るように
ばたりと倒れた。
「…え…」
その場を見た香介は驚きを見せる。
輝己の笑顔が香介の頭の中で蘇る。
「輝己!!!」

一方、輝々は屋上に行き、手を空へ届かせた。
そう、木元 拓が手を延ばして掴もうとしたかのように。


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