過去ログ - 許嫁「私、昨日、彼とセックスしました」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:50:53.22 ID:xjhVtzry0
「そういえばさぁ、俺、ずっとお前の横に立ってた女の子、ああ、今も座ってんな、気になってたんだよね」
「お前の彼女かぁ? いやいやぁ、お前にゃもったいねぇだろ。ギャハハ」
「俺にちょっと貸せよ。いいだろ?」
「貸すって、そりゃそのままの意味だよ。もしかすると寝取っちゃうかもだけどぉ、そんときゃ勘弁な!」

以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:51:27.52 ID:xjhVtzry0
ホテルから通りに出る。
外の冷たい風が肌を差して、自分が彼女の手を掴んでしまっているのを思い出した。
慌てて手を離す。
失敗したな、と思った。
僕が不快に思ったからといって、彼女も不快に思ったとは限らない。
以下略



17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:51:58.81 ID:xjhVtzry0
それ以来僕は、できる限り彼女の行動を制限しないように取り計らうことを心に決めた。
思えば、例の席で酒を飲ませなかったのも余計な世話だったかもしれなかった。
二度と同じ轍を踏んではならない。
彼女の望まぬ婚姻の片棒を担いだ、これは僕の義務だった。


18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:53:04.87 ID:xjhVtzry0
4

「今日、告白されました。……引き受けようと、思います」
彼女がそう言ったのは、僕と彼女が高校生になって、しばらく経った日のことだった。
家庭教師や日々の弛まぬ勉学のおかげか、僕はなんとか兄たちの通っていた高校に滑り込むことができた。よく勉強のできた彼女については言わずもがなである。
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:53:44.25 ID:xjhVtzry0
実際、彼女はよくモテる。異性から愛の告白を受けるのはしょっちゅうだった。
しかし、彼女がそれを受けたことは一度もないようだった。
あるいは、僕に対して気兼ねしているのだろうか。
彼女が僕と同じ小学校に通い出してすぐ、相談を受けたことがあった。
「同じクラスの男の子に告白されてしまいました。どうすればいいですか?」
以下略



20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:54:24.32 ID:xjhVtzry0
それでも告白を引き受けようとしなかった彼女に、やっと恋人ができるというのである。
それはきっと、とても良いことのはずだった。
人並みの幸せはともかく、僕という負債を抱えてなお、トータルではプラスになってくれればいい。
そう願って、僕は彼女を祝福した。
しかし彼女は、どこか傷ついたような、苦々しげな顔で、そうですか、と言った。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:55:07.91 ID:xjhVtzry0
それから一週間後、彼女は恋人とキスしたことを告げ、さらにそのひと月後、冒頭のごとく、恋人と性交に及んだと言ってよこしたのである。
キスはよいが、ことが性交渉となると、はいそうですか、では収められまい。
僕には、彼女に対して一つだけ、注意をしておかなければなければならないことがあった。
僕は、避妊をしたかを聞いた。
彼女はひどく戸惑っていたが、それは僕に対して赤裸々に語りたい類いのことではないからだろう。
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:55:35.39 ID:xjhVtzry0
と最後に、なぜかブルブルと震える彼女に確認した。なにか葛藤があるのだろう、と見守っていると、彼女がやにわに近寄ってきた。
思わず一歩下がろうとしたが、時すでに遅し。

思いっきり殴られた。


23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:56:26.12 ID:xjhVtzry0
4.5

私が彼に出会ったのは、十歳の夏の夜のことだった。
それ以来、私は彼に対して、なんだこの人は、と思い続け、ずっとずっと思い続けて、

以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:57:07.63 ID:xjhVtzry0
5

今の私を支配しているのは怒りだった。それが彼に対するものなのか、自分に対するものなのかも分からず、感情のままに怒鳴る。
「なんで、どうしてあなたはいつもそうなんですか! 私が、私が今まで、どんな気持ちでっ……!」
「ちょ、ちょっと……落ち着いて……」
以下略



25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/25(金) 08:57:33.72 ID:xjhVtzry0
第一印象は最悪だった。突然、許嫁として紹介された相手に、自由恋愛宣言をする人がどこにいるだろうか。そして、そんな男の人を信用する人も。
当然私も人間性を疑ったわけだが、すぐに自分の間違いを悟った。
彼は女の子を弄ぶどころか、そもそも友達らしい友達すらいかったのである。結局、恋人を作るような素振りを全く見せないまま、今日に至っている。
ならば彼の言葉の真意はどこにあるのか。
私が告白されたと言えば、まるで勧めるようなことを言い、かと思えば、私と彼の関係が邪推された時は(邪推も何もないのだが)、自分を悪者にして私を庇ってくれた。
以下略



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