過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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492: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/01/25(土) 23:04:22.84 ID:0oMmW5z50

落ちている途中に人は意識を失うという。
そんなものは嘘だ、とフィアンマは思った。
地上までそんなに距離がないのに、自分は意識がある。
死を怖いと思っていないからかもしれない。

「……ひとまずは、」

テッラに謝ろう。
全て洗いざらい話して、泣いて、頭を撫でてもらおう。

二人で先代教皇を待って、謝ろう。
頑張ったのだと主張して、困ったように褒めてもらおう。

それから。

「………、」

空は、晴れていた。
不釣り合いな快晴。
オティヌスが介入したのかもしれない。

「死ぬには良い日だな、」

目元から、何かが溢れた気がした。
落下に伴い、ループタイが揺れるのが見える。

トールのくれたものだった。

涙が出るくらい嬉しい、プレゼント。

「……これまでの悲劇が、全部、ぜんぶ夢だったら良いのに」

願望が口を突いて出る。

「俺様が目を覚ましたら、隣にトールがいて。
 昨日はケーキを食べ過ぎたな、なんてからかわれて」

地上までもう間もない。
ぐちゃぐちゃの肉塊になって死ぬのだろうと思う。

「恥ずかしいような気持ちになって、トールに文句を言って。
 誤魔化すように頭を撫でられて、俺様は、何も言えなくなって笑うんだ」

誰かに夢を語るように、彼女はそう呟いた。

「そんな毎日が欲しかった」

目を閉じる。




今まで一度も感じたことのないような衝撃がこの身を襲――――――


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