過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
1- 20
870: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/04/15(火) 22:52:02.64 ID:FagYvP010

まだ雨は降っていない。
にも関わらずあまり周囲が見えないのは、もしかして泣きそうだからか。
冷静に自分を客観視しながら、フィアンマはあてもなく歩いていた。

ひどいことを言ってしまった。
取り返しのつかないことを。


『自己満足もいい加減にしろって言ってんだ。
 お前のそういうとこ本っ当可愛くねえ。俺はお前のそういうところが大嫌いなんだよ』

『テ、メェ。言って良いことと悪いことが―――』


思い出されるトールの言葉の数々に、唇を噛み締める。
一方的に傷ついているつもりはない。
自分も、頭に血が上るまま、彼を傷つけてしまった。

だけど、彼は自分を殴らなかった。

短気な彼が、だ。
ある意味、暴力を好むと表現しても支障の無い彼が。

殴らなかったのだ。

あれだけのことを言われて。
それが意味するところがわからない程、頭は悪くない。

「………」

仕事と私どっちが大事なの、と聞く女は愚かだ。

そんな、どこかで聞いた言葉を思い出して視線を落とす。
腕が誰かにぶつかった。謝ろう、と振り返る。

「お。あれ、フィアンマちゃん?」

いかにも軽薄そうな男が、ひらりと手を振った。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
1002Res/658.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice