過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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◆2/3UkhVg4u1D
[saga]
2014/04/15(火) 22:52:02.64 ID:FagYvP010
まだ雨は降っていない。
にも関わらずあまり周囲が見えないのは、もしかして泣きそうだからか。
冷静に自分を客観視しながら、フィアンマはあてもなく歩いていた。
ひどいことを言ってしまった。
取り返しのつかないことを。
『自己満足もいい加減にしろって言ってんだ。
お前のそういうとこ本っ当可愛くねえ。俺はお前のそういうところが大嫌いなんだよ』
『テ、メェ。言って良いことと悪いことが―――』
思い出されるトールの言葉の数々に、唇を噛み締める。
一方的に傷ついているつもりはない。
自分も、頭に血が上るまま、彼を傷つけてしまった。
だけど、彼は自分を殴らなかった。
短気な彼が、だ。
ある意味、暴力を好むと表現しても支障の無い彼が。
殴らなかったのだ。
あれだけのことを言われて。
それが意味するところがわからない程、頭は悪くない。
「………」
仕事と私どっちが大事なの、と聞く女は愚かだ。
そんな、どこかで聞いた言葉を思い出して視線を落とす。
腕が誰かにぶつかった。謝ろう、と振り返る。
「お。あれ、フィアンマちゃん?」
いかにも軽薄そうな男が、ひらりと手を振った。
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