過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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959: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/05(月) 02:25:12.46 ID:JDj3Q3oh0

どうして、トールはあんな風になってしまったのだろう。
何らかの術式の影響か、鈍くなった足を動かし。
どうにか礼拝堂の席に腰掛け、机に上体を預けてぼんやりとした意識で思う。

「………」

言動を思い返してみる。

愛していると言って、抱きしめてきた。
どこか、自分を見る度に泣きそうな表情を浮かべていた。
未来から来たと言った。嘘をついていた、とも。

『―――今度こそ、俺が守ってやる』

思うに、自分は彼の前から姿を消した。
口振りからして、誰かに殺されたのだろうと思う。
そして、彼は間一髪のところで自分を救うことが出来なかった。

どうしようもなく遠いところにあるものなら、人は諦めることが出来る。
後一歩で届くところにあったものを、人は諦めることが出来ない。

意識がぐらぐらと揺れる。
微睡みの心地良さが、身体を支配していた。

「………だとしても」

自分は、幸せだったはずだ。
最後の最期、きっと彼は自分の傍に居てくれた。
たったそれだけで、自分は幸せだった。
本来ならば、いつ喪っていてもおかしくなかったこの命に。
彼が、未来をくれた。死期を先延ばしにしてくれた。

それで自分は充分だったけれど、彼にとっては不十分だった。

「う………」

ひどく、眠い。
もう、目を開けていられない。

「俺様のせいできっと、トールは狂った。だとしたら、俺様が取るべき行動は――――」



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