過去ログ - フィアンマ「助けてくれると嬉しいのだが」トール「あん?」
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965: ◆2/3UkhVg4u1D[saga]
2014/05/05(月) 02:29:24.77 ID:JDj3Q3oh0

「ッ、ぐ……何、なんだ…テメェ、は…? 誰だ…」
「お前だよ。……俺自身だ」

ガレキの山を持ち上げて投げ、トールはふらふらと立ちあがる。
男はつまらなそうに右手を振って砕き、嫌そうに答えた。

「俺が此処に残るにあたって、テメェは邪魔だ。
 消えてもらうけど、文句はねえよな。あっても意味はねえけど」
「……お前が、フィアンマを攫ったのか」
「人聞きが悪いな。俺の恋人なんだから、俺の傍に居させるのは当然だろ?」

カッ、と頭に血が上るまま、トールは瞬時に溶断アークブレードを現出させて飛びかかる。
当然のようにそれを現出させた『投擲の槌』で受け止め、男はうっすらと笑った。

「そういうところがダメなんだよ。
 何をどうしようと、結局は自分の都合と感情に帰結しちまう。
 そして、その身勝手は何も結果を残さない。自分本位を正当化するだけの力がねえからだ」

正当化出来ない程度の弱い力はもはや悪だ、と男は吐き捨てて右手を振るう。
重くのしかかる重圧を手首で受け止めるトールの体からは、ビキビキという音がした。
骨が折れる、と咄嗟に判断して一歩引く。

「経験値、強くなる、強大な敵。
 そんなものにばっかり目を向けてるから、世界の広い範囲にまで目が届かない。
 フィアンマを喪って当然だ。いつまでもガキの目線じゃ、大事なものは守れない」
「喪っ……」
「勘違いすんなよ。俺が殺した訳じゃない。……そんなこと、出来るはずがない」

昏い瞳を僅かに輝かせ、男は純粋な暴力を振るう。
まともに鳩尾に蹴りを受け、トールは飛び散りかけた意識を必死でかき集めた。

「ふざ、けんじゃ…ねえ、ぞ…」
「俺は真面目だ。安心しろよ、俺がフィアンマを幸せにする」
「テメェ、の…勝手で…アイツの、幸せを決めんな…。
 そもそも、……アイツは、幸せだろ………介入、するんじゃ…」
「……へえ。俺らしい台詞だな」
「がっ、ァ」

伸ばされた手が、髪を掴む。
そのまま壁に叩きつけ、男は手を離す。

「テメェだって、フィアンマの幸せを拒絶した上で其処に居るんだろ?」

幸せに、介入した上で。

言い返せなかった。
自分でない『誰か』と幸せになった彼女の姿を、あの地獄で何度も見た。
それが気に入らなくて、駄々をこねて、彼女を手に入れた。

「だったら、それも拒絶されて然るべきだ。
 フィアンマの幸せを踏みにじって手に入れた幸福を、邪魔されないってのはおかしい」

振り下ろされる武力を、避ける。


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