過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10 -SS速報VIP

過去ログ - 「都市伝説と戦う為に都市伝説と契約した能力者達……」 Part10

↓ 1- 覧 板 20

923:チキン野郎は今日も逃げる[sage saga]
2015/08/16(日) 22:38:40.89 ID:KCPtvZzb0
「ちょっとは落ち着いたか」
「はい、ありがとうございます！」
「そうか。……ところで、聞きたいことがあるんだけどよ」
「何ですか？」

　トバさんには、都市伝説のことを色々と教えてもらった。今度はこっちが答える番だろう。
　目を合わせ、真摯に聞こうとする。

「お前さ」
「はい」
「女か？」
「はい！？」

　予想外の問いに、思わずズッコケた。

「昭和かよ」
「いや、そりゃズッコケますよ！」

　ボクは立ち上がり、着用している制服を指差してみせた。

「どうして、男子の制服を着ているのにそんな質問をされなきゃいけないんですか！　ちなみに中央高校の一年生です」
「いや、それはどうでもいい」
　
　トバさんは、「だってよ」と反論をした。

「お前の声、男子にしては高すぎだろ。それに、背もちっちゃいし顔も女にしか見えないし」
「ぐぬぬ」

　痛いところを連続で突かれる。今まで、何度もからかわれてきた特徴達だ。

「髪も長いしよ」
「これは姉ちゃんの趣味です！　短くすると機嫌が悪くなるんです！！」
「なんで、姉貴が弟の髪型を気にするんだよ」

　……そこには、我が家のちょっとした秘密があったりする。誰にも教えたくない内容、トバさんにも勿論言えない。

「そ、それよりも他に質問ないですか」
「はぐらかしたな、おい。まあいい。じゃあ、これも聞きたかったんだけどよ」

　トバさんは、ボクの足に視線を向けた。

「お前、随分と足が速いようだけど陸上でもやってるのか？」
「やってないですよ。中学の頃、ちょっとだけ陸上部に入ってましたけど」

　先輩が怖かったので、すぐに辞めてしまった。

「でも、昔から走ることだけはしてました」

　今も朝と夜に、ジョギングをしている。

「単純に走ることが好きなのか？」
「それもありますけど」

　唇が微かに歪む。苦笑いが意識せずに出た。

「さっきも言ったように、ボクって不良に絡まれやすいんですよ。だから、逃げ足だけは鍛えておこうと思って」
「……随分と後ろ向きな理由だな」
「自覚はあります」

　どうせなら、格闘技でも習えばいいんじゃないの。
　そう言われたこともある。けれど、ボクはその勇ましい道を選べなかった。選ばなかった。
　立ち向かうなんて考えられない。想像しただけで膝が震える。

「でも、それがボクですから」

　弱虫のボクは、逃げるのが精一杯だ。

<<前のレス[*]｜次のレス[#]>>

1002Res/1335.32 KB

↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。

VIPサービス増築中！
携帯うpろだ|隙間うpろだ