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2013/10/29(火) 02:58:23.15 ID:kWQTiV4f0
ナムコ皇国とクロイ帝国の戦争は熾烈を極めていた。
両陣営共に決定打を欠き、時間だけがただただ過ぎて行くばかりである。なにか決定打は無いのか、兵士たちも疲労していくばかり、このままでは共倒れだ、そんな声が聞こえ始めていた。
長きにわたって続くこの戦いを終結に導くためナムコ皇国の上層部は有る男に依頼を出した。なんでもその男は凄まじく強い兵士を匿っているようで、その兵士は一騎当千の力を持っているとされていた。
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2013/10/29(火) 02:59:47.67 ID:kWQTiV4f0
「お任せください、私が育てた”コレ”を使えば必ずや我が国に勝利がもたらされるでしょう。」
メガネの男は不敵に笑い依頼を快諾した。その後ろには美しい銀髪に端正な顔立ち一見すればただの少女が静かに立っていた。
「こんな小娘がなんの役にたつというのかね?」
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2013/10/29(火) 03:00:59.84 ID:kWQTiV4f0
「皆さんどうか私を信じてください、報酬は後払いでも構いませんので。しかし約束していただきたいことがあります。」
「言ってみたまえ。」
「全ての戦闘は彼女に一任していただきたい、すなわち彼女には命令をしないでください。きっとその方が彼女の力が発揮されるはずです」
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2013/10/29(火) 03:02:17.41 ID:kWQTiV4f0
なんとも自信にあふれた男の口ぶり、さらに報酬は後払いでも構わないときた。約束が有るにしろ使い物にならなければ報酬など払わなければ良い、そんなことを考えながら上層部は彼女を使うことを決定した。
「良かろう、君の要求を飲むことにしよう。」
「有難うございます、さぁ貴音、自己紹介をしてごらん?」
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2013/10/29(火) 03:03:01.59 ID:kWQTiV4f0
銀髪の少女は軽く自己紹介をしてみせた。男の後ろにいるときは分からなかったが、彼女の目は寒空に煌々と輝く満月の如くとても冷たいものであった。
出生、生い立ち等など全てが謎に包まれている少女、分かっている事といえば名前ぐらい。しかし彼女がまさしく一騎当千の力を持っている事が知られるのにそう時間は掛からなかった。
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2013/10/29(火) 03:03:50.19 ID:kWQTiV4f0
明くる日、早速彼女は戦地に赴いていた。彼女がいるのは最前線、最も戦いが激しいクロイ帝国との領土の境、何ヶ月も前から激しい戦闘が続いている言うなれば死地。
「ここは私にお任せください。」
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2013/10/29(火) 03:05:21.61 ID:kWQTiV4f0
指揮を執る士官にそう言い残し彼女は戦いの真っ只中へと消えていった。真新しい光り輝く銀色の甲冑、腰には細身の剣が一振のみ、おおよそ激しい戦いになど到底向かない装備である。あまりに頼りない彼女の姿を見た味方の兵士たちは口々に言った。
「あんな娘っ子が生きて帰ってこられるわけがねぇ。」
「きっと気でもふれているんだろうさ。」
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2013/10/29(火) 03:05:57.70 ID:kWQTiV4f0
そんな話をしていた途端、急に強い一陣の風が吹き、砂埃が辺り一面に広がった。辺りには金属と金属がぶつかり合う音と男のうめき声だけが響いていた。そんな中1分も経っただろうか、砂埃も落ちつき視界も晴れてきた。
「み、見てみろ!」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:06:56.16 ID:kWQTiV4f0
急いで周りの兵士たちも目を凝らしてみる、そこには静かに揺れる銀髪、銀の甲冑を真っ赤に染めた彼女が立っていた。
周りにはすでに事切れているクロイ帝国の兵士たちが何百、いや何千と横たわっていた。
そして、まだ息のある兵士にトドメを刺そうというまさにその瞬間であった
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:07:45.33 ID:kWQTiV4f0
「や、やめてくれ、降参だ、命だけは・・・」
男は命乞いをしているのだろう、今にも泣き出しそうな顔で口をパクパクさせている。しかし、彼女は全く聞く耳を持たず、静かにこう言った。
「これはあなたの、そして私の運命なのです。」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:08:52.00 ID:kWQTiV4f0
四条貴音の噂は瞬く間に両国に広がった。
ナムコ皇国の民衆からはその活躍ぶりから救世主と、また自国の心ない兵士からは殺戮人形と揶揄されていた。
クロイ帝国からは死をも恐れぬ戦いぶりと畏怖を込めて銀の銃弾[シルバー・ブレット]と呼ばれるようになっていた。
四条貴音が戦いに参加してどれくらいの月日が経っただろう、彼女が参加してからというもの日に日にナムコ皇国の優勢が目立つようになってきた。
これもひとえに彼女の大車輪の活躍があってのことであろう。そんな彼女も連戦に次ぐ連戦で疲弊していたのか珍しく傷を負って帰還した。
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