過去ログ - 貴音「運命には抗えぬのです」
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15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:11:36.30 ID:kWQTiV4f0
ここで貴音はあることに気付いた。見れば目の前にいる少女は体を小刻みに震わせており、自分を怖がっている様子である。

「どうしたのです?怖いのであれば近づかなければよろしいではありませんか。」

「嫌です!軍医になって日も浅くてダメダメな私ですけど、あなただけは放っておいたらいけないと思ったんです!」
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:12:38.13 ID:kWQTiV4f0
「おかしな方ですね、分かりました。そこまで言うのなら仕方ありませんね。」

貴音は彼女の診察を受けることにした。
診察を受けたかった訳ではない、むしろ診察をする彼女の方に興味がわいたのだ。
彼女は明らかに自分に対して恐怖していた、自分に恐怖する者の取る行動といえば命乞いか背を向けて逃げるものばかり、だから恐怖してなお自分に相対してきた彼女が不思議で仕方なかったのだ。


17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:13:44.07 ID:kWQTiV4f0
「こ、こちらにどうぞ」

さっきの威勢はどこへ行ったのやら、頼りない背中の後を貴音はただ黙ってついて行った。程なくして簡素な診察室へとたどり着いた。

「まずはその甲冑を脱いでいただけますか?」
以下略



18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:15:02.53 ID:kWQTiV4f0
甲冑を脱いだ貴音の姿に雪歩は唖然とした。彼女の透き通るような白い肌には無数のアザ、切り傷、やけどの痕など見るにたえない姿であった。

「な、なんでこんなになるまで放っておいたんですか!?もっと早く来ていただければそれなりの処置はしたのに・・・」

「なにをそんなに驚いているのです?私の傷など自国の勝利には取るに足らない代償、戦いの中で死ぬのならそれもまた私の運命なのでしょう。」
以下略



19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:15:34.58 ID:kWQTiV4f0
ありがとうございました。失礼致します。」

それだけ言い残すと貴音は自室へと帰っていった。

 結局あまり会話をすることが出来なかった、しかし彼女を放っておいたらいつか取り返しの付かないことになる、雪歩の勘がそう言っていた。一晩中考えて雪歩はひとつの決心をした。


20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:16:24.75 ID:kWQTiV4f0
自室に戻った貴音もやはり彼女のことが気になっていた。
なぜ彼女は自分の姿を見て驚いていたのだろうか、戦場での傷は当然の事、戦場での死も当然の事、軍医である彼女がそんな事を知らないはずがない。
ならば彼女はなぜあんなに驚いていたのか。
自分の言動、姿にどこか問題でもあったのだろうか。
考えてもわからない。そしてふと気がついた。
以下略



21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:17:06.04 ID:kWQTiV4f0
ナムコ皇国はその後も一気に攻勢に転じ、クロイ帝国をじわじわと追い詰めていた。

そして次の遠征から兵士達が帰ってきた時、雪歩は真っ先に駆けつけ貴音の姿を探した。きっとまた無茶をして帰ってきているに違いない、雪歩には確信があった。程なくして銀色の甲冑を真っ赤に染めた彼女の姿をみつけた。

「四条さん!!」
以下略



22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:18:04.43 ID:kWQTiV4f0
「どうしたのです萩原雪歩?前とは様子が随分違うようですが。」

「四条さんはおかしいです!あのあとゆっくり考えましたけどやっぱり四条さんはおかしいんです!」

まただ、また得も言われぬ違和感が胸をよぎる。自分は全くおかしいところなど無い、ただ兵士として当然のことをしているだけ。しかし目の前の彼女は兵士というものを知りながらおかしなことを言っている。思い切って貴音も自分の思いを言うことにした。
以下略



23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:18:39.13 ID:kWQTiV4f0
そこじゃない?ならば一体どこに驚いたと言うのだろうか、尋ねる前に彼女から口を開いた。

「四条さんは自分の命を軽く見過ぎです、なんで自分より国のことが大事なんですか?死んじゃったらなんにもならないじゃないですか!そんなんじゃ本当にただの殺戮人形ですよ!!あっ・・・」

雪歩は言ってから自分の言葉に耳を疑った。自分がこんなに酷いことを言ってしまうなんて思ってもみなかった。
以下略



24:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:19:21.92 ID:kWQTiV4f0
「私は物心ついた時からあの方と共に暮らしていました。親もわかりません、どこの生まれかも分からないのです。ずっと教えられてきました、兵士とは自国のためなら自らの命を投げ売ってでも勝利を掴まなければならないと。だから殺戮人形と呼ばれるのもしかたのないことかもしれません。むしろ当然です、私には人を切ることしか出来ませんから・・・そして戦場で死ぬのならそれが私の運命なのです。私にとっては私の命など軽いものなんです、それが私の普通なんです!!」

貴音が初めて声を荒げる、かなり感情的になっているのを雪歩は感じていた。薬品の瓶が床に落ちて割れる。しかし雪歩も退いてはいられない、なぜならこの人を何とかして助けると雪歩はあの夜決心したからである。


25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:19:51.63 ID:kWQTiV4f0
「なんでそんな悲しいこと言うんですか!?四条さんが死んだら私は悲しいんです、戦ってる皆だって誰一人死んでいいなんて思ってない、家族や大切な人を守るために戦ってるんです!みんな死にたくないから、死なせたくないから戦ってるんです!四条さんの戦う理由はおかしいですよ!!」

「私の戦う理由を愚弄するのですか!?萩原雪歩、あなたなら分かってくれると信じていたのに!」

 貴音はその時剣を抜いていた、こんなに感情的になって剣を抜いたのは初めてだろう、この刃はもう止められない。
以下略



26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:21:35.57 ID:kWQTiV4f0
自分でも気付かなかった、涙なんて見たことしか無い、ましてや理由など分かるはずもない。仲間を亡くして涙する兵士、分からない。遠征から帰ってきて家族と抱き合い涙する兵士、分からない。何度もそんな場面に遭遇したが理由など一度たりとも分かったことがなかった。しかし今自分の頬を液体が伝っている。なぜ、分からない。

 その時、そっと雪歩が貴音を抱きしめた。貴音にはなぜだか分からないが涙が溢れてきた。

「泣きたいときには泣いたらいいんです。あなたは殺戮人形なんかじゃありません、心のある人間なんです。」
以下略



27:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:22:45.30 ID:kWQTiV4f0
それから貴音と雪歩は積極的に会話をすることが増えた。
はたから見れば姉妹のような、そんな普通の女の子二人の姿がそこにはあった。
貴音も笑顔が増え、殺戮人形といわれていた事が嘘のように表情豊かになっていった。

しかし、戦争は待ってはくれない。
以下略



28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:23:46.34 ID:kWQTiV4f0
「それでは雪歩行ってまいります。」

「貴音さんお気をつけて、必ず帰ってきてください。」

黙って頷くと貴音は最後の戦いへと赴くのであった。空には煌々と満月が輝いている。この戦いが終われば戦争が終わる。雪歩と一緒に静かに暮らそうと二人は約束していた。
以下略



29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:24:19.78 ID:kWQTiV4f0
どうやら一人仕留め損ねていたようだ、前まではこんなこと絶対になかったのに、嫌だ、死にたくない、雪歩にまた会いたい、会って話がしたい、雪歩の事を考えていたら自然と涙が出てきた。徐々に体に力が入らなくなってきた。意識が遠のく、結局人が何故泣くのか、理由はわからずじまいでしたね。


30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:25:00.50 ID:kWQTiV4f0
どうやら、遠征部隊が帰ってきたようだ。しかし、なんだか様子がおかしい、誰かが担ぎ込まれてくる、それは一番見たくなかったあの真っ赤に染まった銀色の甲冑だった。

新米軍医にはどうすることも出来ず、先輩の軍医に貴音を任せることしか雪歩には出来なかった。死なないで、こんなお別れは嫌だ、もう一回話がしたい、悲しくて涙が溢れてきた。結局、雪歩は貴音を助けることが出来なかった。泣き疲れて雪歩は寝てしまった。


31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:25:35.21 ID:kWQTiV4f0
「貴音さん、お体は大丈夫ですか?」

「雪歩、もう心配することはありません。この通り傷もすっかり塞がりましたから。」

あの後、例のメガネの男が現れ、手術をしたところ見事貴音は一命を取り留めた。その後男は「貴音はここに置いていきます。」
以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 03:26:17.86 ID:kWQTiV4f0
これで終了です。
おめ汚しすみませんでした


33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 11:32:04.07 ID:O5Uc1DVv0





34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 20:09:48.68 ID:COYCURDKo
おつんつん


35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/10/29(火) 22:56:24.21 ID:9IsUfRjXo
失礼ながら映画オチや台本オチになると思ってたからいい意味で裏切られた乙


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