244: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:22:48.23 ID:9qjjXKR6o
こんな“お節介さ”も、意識しなければすぐにフェイドアウトするのだが。
ふと凛は、その切れる頭に、微かに引っかかるものを感じた。
――そもそも渋谷凛って、50年前からいるだろう?――
245: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:23:46.32 ID:9qjjXKR6o
「……今見ているのは日本タレント銘鑑2062。……ということは、2061とか2060もあるはずだよね。どこかで読めないかな」
ざっと走査するが、銘鑑の利用案内には、大きな売りとして『当データベースは一週間ごとに更新され、常に最新の状態でご覧頂けます!』と書いてある。
思い立った次の瞬間に公式からNOを示され、凛はがっくりと肩を落とした。
246: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:24:40.97 ID:9qjjXKR6o
「ま、そりゃそうだよね……」
嘆息して、サンドイッチの最後の一欠片を口へ放り込む。
すると、思わぬセクションを見つけて、危うく喉を詰まらせそうになった。
247: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:25:43.23 ID:9qjjXKR6o
「あれー? 凛、ここでお昼食べてるの?」
凛は、自らを呼ぶ声で我に返った。
248: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:27:40.32 ID:9qjjXKR6o
ちょうどいいタイミングだと思い、凛は気になっていることを解消しておこうと、訊ねた。
「ねえ加蓮。最近うちにお酒を持って来た? カルバドスなんだけど」
「え、凛の家に? カルバドスを? 持って行くわけないじゃん。そもそも、凛のとこへ遊びに行ったのって、もうだいぶ前だよ? なんで?」
249: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:29:21.16 ID:9qjjXKR6o
しかし凛は、両方のこめかみに人差し指を当て、悶々とした表情を浮かべる。
「うーん、そうなんだけど、一週間分くらいの仕事時以外の記憶が、何故か全くないんだよ。今朝も、そのせいか出勤途中に妙なことが起きた」
加蓮はその言葉に、眉間にやや皺を寄せて凛の顔を覘き込んだ。
250: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:31:33.06 ID:9qjjXKR6o
加蓮は、うーん……と唸って腕を組み、眼を閉じて思考に耽る。
「どーにも、凛が嘘を云っているようには感じられないしなあ」
「うん、私も同じように、加蓮が嘘を云っているとは思えないんだよね。だからこそ不気味で……」
251: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:33:07.58 ID:9qjjXKR6o
「……まるで、誰かと一緒に来てたみたいな云い方だね、そのマスター」
「うん、その時はあまり気に留めなかったけど……。云われてみれば、確かにちょっとおかしいと思わない?」
加蓮は、額に左手を当てる。
252: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:34:31.63 ID:9qjjXKR6o
はぁ、と凛が髪を掻き上げて溜息をつき、
「駄目だね、これ以上考えても埒があかないよ」
加蓮も頷いて、天を仰いだ。
253: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2013/11/03(日) 18:36:38.82 ID:9qjjXKR6o
「そう。レアな書物でも所蔵されてそうな図書館。区民図書館でも大丈夫かな?」
「うーん……そこまでのものを求めるんだったら国会図書館が一番確実だとは思うけど……」
不思議そうに、片眉だけ上げる表情で答える加蓮。凛は、ぽん、と手を叩いた。
254: ◆SHIBURINzgLf[sage !蒼_res]
2013/11/03(日) 18:41:43.96 ID:9qjjXKR6o
短めですがひとまずはここまで
また夜あたりにでも少し書こうと思います
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