過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 21:27:24.35 ID:foU1KJOC0
 赤城と加賀は艦娘として覚醒する前、同じ道場で弓術を学んでいた仲であり、道場内では「双龍」だとか「龍虎」だとか呼ばれていたものだ。
 そんな付き合いの長い二人であるから、相手の考えはすぐに分かるのである。
「吹雪さん、この子の服装をよく見てください……」
「え? いや、かわいいな〜と思いますけど」
「……トラックではそうそう手に入らない上等な品です。つまり、この子の実家はかなり裕福な家庭で、しかもこの子を見るに日系人であるということですね。それが現地で不可解なトラブルに巻き込まれたということは……?」
「あ……!」
 そこまで言われ、ようやく吹雪も合点がいった。
 現在、トラック諸島には二千人からなる日本人が暮らしている。
 それは駐留軍人や、この茶屋を営む老爺のような帰化によるもののみでは無論なく、多くが技術的・教育的な支援を行うために日本から派遣されてきた有志であった。
 これは、長期に渡る深海棲艦との戦いにおいて必要不可欠な措置である。戦争とは、油や銃弾のみでまかなえるものではないのだ。
 その日本人の、おそらくかなり地位の高い者が現地で誘拐事件に巻き込まれている……。
 これは下手をすれば、日本政府と、トラック諸島を収めるミクロネシア連邦政府との外交問題にも発展しかねない事案であるのだ。
「この子自身のためにも、出来る限りは私たちで解決したいと思っています」
 文月に与えていた白玉のうち、ひとつを自身がほおばりながら断固たる決意で赤城はそう口にした。
「ところで……」
 と、口にしたのは加賀である。
「青葉はどうしたんですか? 何やら慌てた様子で艤装を着こんで行きましたが……」
 この場にいない仲間のことについて彼女が触れた時、どたどたと慌ただしい足音が階下に響き渡った。
「赤城さん、言われた通りにしゅざ……もとい、犯人の正体を突き止めてきました!」
 その勢いのままに、襖を開いて現れた少女こそ、青葉型1番艦の魂と戦力を受け継ぎし艦娘、青葉である。
 彼女だけは他の三人と違い、セーラー服型の制服に、自らの艤装をまとったフル装備となっていた。
「……青葉、騒がしいですよ」
 そのままテーブルの上に置かれたラムネをわしづかみにしようとした青葉の手をはたき、加賀が軽くたしなめる。
「むー、喉が渇いてるんですよう。青葉、秋島まで行って聞き込みしてきたんですから」
「秋島に……?」
「犯人たちはわざと放り捨て、この子に後をつけさせておいたんですよ」
 そう言いながら赤城が見せたのは、自らの艦載機である。


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