過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 21:27:58.22 ID:foU1KJOC0
あの時――。
赤城は艦載機型の艤装を飛ばすと同時に、気絶から覚めた男たちを空から追跡するよう命じていたのだ。
狙いは的中し、気絶から覚めた男たちはそのことに気づかぬまま、この茶屋とは山を挟んで反対側にある船着き場へ向かい、日に二本の定期船で秋島へと渡って行ったのである。
定期船を降りた男たちが向かったのは、秋島の中心部に存在する洋風の屋敷であった。
そこまで突き止めれば、あとは簡単だ。
赤城の命を受け、海上を直接渡った青葉が付近の住民に聞き込みをしてくるだけでよい。
それにしても……。
艦載機のパイロットを務める妖精はぐったりと疲れ切った顔をしているが、これは加賀たちが到着するまで文月の遊び相手を務めていたからである。恐れを知らぬ小さな航空兵も、子供の相手だけは苦手であったようだ。
「それにしても、秋島……ですか。やはり、という気もしますが……」
「私、秋島には行ったことないんですけど、どういうところなんですか?」
「そうですね……。トラック諸島は俗に春島、夏島、秋島、冬島、日曜島、月曜島、水曜島、金曜島と呼ばれる八つの島で構成されていますが、秋島はその中でもあまり日本人を好まない人が多く住んでいる島です」
トラック泊地へ着任して間がない吹雪の質問に、加賀が丁寧に答えてやる。普段は仏頂面で、ほとんど感情を表に出さない彼女であるが、こういう時の面倒見は驚くほどによいのである。
「なんでかっていうと、それはミクロネシアにおけるクランの重要性が関係しているんですよ」
「クランっていうのは、あの、ゲームとかで出てくる……?」
「そう! そのクランです! 血縁を中心とした、ひとつの共同体ですね! でもって、伝統的な農業で生計を営む秋島には日本人を好まないクランが多く存在するわけで……って加賀さん、痛い! 痛い!」
「……残念ながら、友好的な人ばかりではないということです」
脇から解説役の仕事を奪った青葉の頭を掴み、無表情にげんこつを押し当てながら加賀がそう締めくくった。
「じゃあ、文月ちゃんをさらおうとしたのはそういう……?」
「あ、いや、それが、青葉もそう思っていたんですが……」
「何……? 違ったのですか?」
これには、さすがの赤城も驚いた様子である。
吹雪が口にしようとしていた通り、赤城もこれは日本によい感情を抱かぬクランの仕業と考えて、
「まず、間違いはない……」
と、考えていたのである。
「艤装を浜に置いた青葉は、そのまま秋島の中心部に潜入、周囲で農家を営む皆さんに聞き込みを開始しました……そして、そこで分かったのは恐るべき事実で、加賀さん! ギブッ! ギブッ!」
「……余計な脚色はせず要点だけを話してください」
「あいたた……屋敷の主はピアイルック家っていう、昔からあの辺りを支配してきた有力者なんですけど、今の当主であるマウさんは若いころ日本にも留学した経験のある、バリッバリの親日家だったんですよ、これが」
「ふむ……」
「それに、ピアイルック家は義理任侠で知られた家系で周囲の評判もよくって、どうも話を聞く限りだと誘拐なんてする人達じゃなさそうだな〜と、青葉は思ってしまうのでした」
「でも、実際に誘拐しようとしたわけなんですよね……?」
「……私としては、この子の父親が何故一人でタクシーに乗せたのかも気になります。まるで、わざと誘拐しやすくしたような……」
喧々諤々、といったところであろうか。
得られた情報に対する状況の不可解さに、艦娘たちはそれぞれが思い思いに自分の考えを口にしていた。
「赤城さん、いっそそのピアイルック家に乗りこんでしまうという方法もありますが?」
「いや、それはやめておきましょう。やるにしても最後の手段です」
加賀の意見に対し、赤城はあくまでも冷静である。なるべく秘密裏な処理をすると決めたからには、どこまでも慎重を期するべき、と考えているのだ。
「では……?」
「文月ちゃん、このおうちでしばらくいい子にしていられる?」
「文月、おうちにかえれないの?」
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