過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)
2013/11/11(月) 20:31:11.72 ID:foU1KJOC0
ら、五十鈴は自問自答した。
「それにしても……」
 人の気も知らず、気楽に語っていたコメンテーターの言葉を思い出す。
 その中で語られていたある事柄こそが、今現在五十鈴を最も悩ませていることだし、きっとそれを察したからこそ、あの親友はここに来てくれたのである。



「輸送任務……ですか?」
 艦娘寮とは隣り合う形の建物には、主に鎮守府内参謀部の機能が集約されている。
 中でもこの部屋は豪奢な内装が施されており、鎮守府内でも高位に位置する者が使用する場所であることがひと目で分かるつくりとなっていた。
 部屋の中には、士官服に身を包んだ60男が二人。
「そうだ。三ヶ月後、トラック泊地で行われる当代赤城の引退式に合わせ、あれを同地へ届けよというのが司令部の指示だ」
「あれ……と、申しますと?」
「長門の艤装だよ」
 重苦しい沈黙が室内を満たす。長門の艤装、という言葉に込められたものの重さが、そのまま質量を得たかのようであった。
 ――戦艦長門。
 ビッグセブンの一隻として名を連ね、かつての大戦では帝国海軍の象徴として扱われたこの戦艦も、艦娘の艤装へ形を変えこの世界に舞い戻ってきている。
 だが、いまだにその担い手となる娘は現れておらず、この横須賀鎮守府に半ば死蔵される形で保管されているのだった。
「広告塔……ということですか?」
「そうだ、様々な形で印象操作をしてはいるがな。やはり、今回の赤城引退は痛手だよ。実際の戦力云々よりも、士気の低下が問題だ」
「それで、長門の艤装を引退式に陳列させる……?」
「そうだ。実戦には参加せず、内地で温存され、その存在のみで人々の心を高翌揚させる……大戦時の長門を思えば、ふさわしい仕事であると思わんかね?」
「実戦で使えない以上、せめて置き物として役に立て……ですか?」
「そういうことになる……な」
 やがて、どちらからともなく溜め息がもれ出した。
「年端もいかぬ娘達を戦場に送り出し、戦えぬ装備とあらば飾りとしてでも活用する……か」
「分かってはおりますが、しかし、これは……」
「それが、人類の現状なのだ」



 一ヶ月後。
 五十鈴と由良は船上の人となっていた。
 彼女たちが乗りこむ輸送船には、本国からトラック泊地へ向けられた物資が満載となっており、これが前線で戦う兵士たちの命を繋ぐのである。
 それに加え、現在、この輸送艦にはあるものが積み込まれていた。
「長門の艤装……か」
「あら、五十鈴ちゃんは見に行かないの?」
 甲板で風に当たりながらの独り言を聞かれ、ぎくりと肩をこわばらせる。
 現在、船内では船長の「粋な計らい」により、希望者には間近で長門の艤装を見学する機会が与えられている。
 これには、わざわざ艤装の護衛として派遣されてきた士官たちが難色を示したものだが、なんといっても船長は船上における神に等しい存在だ。
 そんなわけで、長門の艤装は船内の一室に


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