過去ログ - 【艦これ】五十鈴の調子が悪いようです【SS】
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2013/11/11(月) 20:32:35.55 ID:foU1KJOC0
「とにかく、わたしはいくね! 五十鈴ちゃんは安全なところへ!」
それだけ言い残し、下駄にも似たカタパルトへ両足を乗せた。
「軽巡由良、出撃!」
かけ声と同時、電磁式のカタパルトが射出され、由良の姿は海原へと消えていく。
格納庫には、五十鈴が……いや、五十鈴の名を受け継いでいた少女が一人取り残された。
「こんな……私は……」
涙すらも出ない。
少女はただ一人、己の無力さを噛みしめていた。
艦橋では様々な情報が飛び交い、ありていにいって船長をはじめとする乗組員たちは浮き足立ってしまっていた。
輸送任務の最中に深海棲艦と遭遇すること自体は、決して珍しいことではない。それを覚悟しているからこそ、艦娘たちを護衛として乗艦させてもいるのだ。
だが、この日彼らの前に立ちはだかった深海棲艦はまさしく、ものが違っていたのである……。
「戦艦ル級……それもフラッグシップタイプだと……!?」
部下から上げられた報告を聞き、船長は顔面蒼白といった体であった。
――戦艦ル級。
戦艦型に分類される深海棲艦の中でも、上位に位置する存在である。
しかも、フラッグシップであるならば黄金の燐光を身にまとい、なまかな攻撃では傷ひとつつけることすらかなわぬ強力な個体となるのだ。
「見間違いではないのか!?」
すぐさまそう問い返してしまったのも、無理のないことであっただろう。
高度なステルス能力を持つ深海棲艦に対し、既存のレーダーは全くの無力である。
そのため、海上での索敵は目視を頼りとする前時代的なものへと退化しており、見張りや哨戒に出ていた艦娘の見間違いということもない話ではなかった。
だが、
「深雪から転送された映像、モニターに回します!」
緊張した声と共にモニターへ大写しにされた映像を見て、艦橋の一同は息をのむ。
その姿は、ひと言で例えるならば、
「異貌の美女……」
と、なるであろう。
長身ではあるものの、背丈は人間のそれと一切変わらず、青白い肌を未来的な装束に包み、両手に盾のような形状をした砲戦用の艤装を手にしている。
人の手による艦船では決して追いつけぬ速度で海上を滑走するその姿は、艦娘の一人であるかのようだ。
だが、艦娘は不吉な燐光をその身にまとったりはしない。
これはまぎれもなく……、
「せ、戦艦ル級……これほどの大物が、なぜこんな海域に!?」
再びがく然とした声を上げ、船長は頭を抱え込んでしまった。
「な、なあ……話に聞いてたほど、とんでもないたまじゃなさそうじゃないか……?」
管制にあたっていた乗組員が、ぽつりと漏らす。
「そ、そうだな……俺、艦娘が深海棲艦を倒すムービー見たことあるんだ……あんなのよりずっとでかくて不気味なやつを、砲撃でさ」
「あ、ああ……艦娘の方々なら、あんなやつ簡単に……」
言葉をかわすのは、この中でもとりわけ若い者たちだ。
彼らも、知識としてモニターの中にいる存
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