過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:01:03.48 ID:BVhJwVsq0
好きな言葉は“下剋上”。
戦国時代のように上の人間を切り捨ててしまいそうである意味恐ろしいが、見方を変えれば向上心が強いという事だ。
『オレ、絶対上に立って有名になってやる』
恒彰の口癖だ。
他の人がどう見ていようが、朝子にはとても光り輝いて見えた。
勝のように無気力でなく、連太郎のようにふらふらと生きているわけでなく、圭祐のようにへこへこしているわけでもない。
自我の強さが、大好きだ。
でも、会いたくない。
普段が普段だけに、とても怖い。
伊吹や睦よりも怖い。
信じる事なんて、とてもできない。
こんな弱い自分が、とても嫌だ。
しばらくして、何かの臭いが鼻についた。
残り香のような僅かなものだったが。
これは…煙草?
朝子は少し離れた所に誰かが歩いているのを見つけた。
あまり高くない木のお陰で、顔は体しか見えないが。
一気に汗が噴き出す。
ベレッタを持つ手がガタガタと震える。
どうしよう…どうしよう…誰だろう…怖い…木が途切れ、顔が確認できた。
「あ!!」
思わず叫び声を上げ、慌てて口を塞いだ。
「誰だ!?」
その人物が振り返る。その表情は、とても険しく恐ろしかった。しかし、朝子の姿を確認すると、それが緩んだ。
「朝子…だよな?」
「ツネ君……」
その人物、誰よりも愛しいけれども誰よりも会いたくなかった新島恒彰は、持っていた煙草を捨てて朝子のもとへ駆け寄ってきた。
「無事か? 怪我はないか?」
心配そうに訊く恒彰の声を聞き、朝子はその場に力無く座り込んだ。その目からぼろぼろと涙が溢れた。あぁ…なんてあたしは弱いんだろう…何でツネ君に怯えていたんだろう…こんなに心配してくれてたのに…よく考えてみれば、あれほど粗暴な恒彰だが、朝子にはとても優しくいつも気に掛けてくれていた。2人で一緒にいる時に喧嘩に巻き込まれた時も、自分がボロボロになっても朝子を守ってくれていた。お陰で朝子は喧嘩に巻き込まれて怪我をした事は一度もない。朝子の体調が良くない時は、家まで送ってくれた。他にもあるが、言い出せばきりがない。バカだな、あたし…ツネ君があたしを傷つける事なんて、あるはずないのに…
「…朝子?」
恒彰が朝子の顔を覗き込んだ。ちょっとやめてよね、今あたし涙でぐしゃぐしゃで化粧流れてるんだよ?朝子はとにかく、笑顔を作った。
「えへへ…何か…腰抜けちゃったかも…」
恒彰がははっと笑った。普段はいかつい顔をしているが、この時だけは可愛らしい――朝子の1番好きな表情だ。恒彰は自分のデイパックからペットボトルを出した。
「ほら、水飲んで落ち着けよ。こんなトコで座ってたら危ないだろ」
「あ、大丈夫、自分のが…」
自分のデイパックからペットボトルを出そうとした朝子の広めの額を、恒彰がペットボトルでこつんと叩いた。
「バーカ、オレらカレカノじゃん、気ィ使うなっての。オレの物は朝子の物だ」
朝子は少し頬を赤く染め、恒彰のペットボトルを受け取った。あぁ、優しいな…やっぱりツネ君の事、大好き…朝子はそれを口に含んだ。
「…ありがと…… ――っ!!」
朝子は突然咳き込み、ペットボトルを手放した。飲んだばかりの水を吐き出し、続いて血を吐き始めた。何で…どうして……!?朝子は恒彰を見た。大好きな笑顔とは違う歪んだ恒彰の笑顔、それが最期に見た物だった。苦しそうに咳き込みながら、朝子は倒れた。それが止まった時には、既に事切れていた。
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