過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:06:37.23 ID:BVhJwVsq0
『グッモーニン!! 元気に殺し合ってくれてるかな!?早速、戦場に散ったお友達を言っていくぞ!!準備はいいかい!?』相変わらず耳障りな声。だけど、聞かなくては。設楽海斗(男子10番)は、祈るような気持ちで放送に耳を傾けている。1時間半ほど前まで一緒にいた、曽根崎凪紗(女子10番)の安否を確認しなくてはいけない。怪我をした自分を逃がす為に囮になった凪紗。大丈夫だろうか?怪我でもしていたら…もしも、万が一、命を落としていたら…ペンを持つ手に力が入る。栗原佑(男子7番)と不破千尋(男子17番)、2人に凪紗の事を任されていたのに、足を引っ張ってしまい、さらに凪紗を危険な目に合わせてしまった。どうか、どうか無事で――『それでは、いざ!!女子14番、濱中薫さん!!女子4番、桐島伊吹さん!!女子7番、坂本陽子さん!!女子9番、駿河透子さん!!男子15番、新島恒彰君!!ちょーっと元気がないぞ、女の子諸君!!』よかった…生きてる…放送で呼ばれた5人には悪いが、安心した。凪紗は無事だ。あの“戦闘実験体”だとかいう結城緋鶴(女子19番)に負けなかった、流石だ。『続いて禁止エリアの発表だ!!7時からG=07エリア、あー…住宅地だぞっ!!9時からE=06エリア、小学校がある所なっ!!11時からJ=01エリア、商店街の端だぞ、わかったかい諸君!!残りも半分を切ったし、頑張ろうなぁ!!』ブツッと放送が切れた。海斗は大きく息を吐き、ペンの蓋を閉じた。海斗は自分の左手小指にはめられているシルバーの指輪に手を触れた。去年の誕生日に凪紗がくれた。本人は『安物でごめんね』と言っていたけれど、海斗にとってこれ以上価値のある物はない。肌身離さず身に付けている(サッカーをしている時は壊れると困るので外していたが)。凪紗、無理してないだろうか…時々突拍子もない事をしでかすからな、アイツは――海斗が凪紗や佑と交流を持ち始めたのは、中学1年生の頃だ。その頃の海斗は今と変わらず無愛想で寡黙だったが、素行は全く悪くなかった。授業や学校行事などには真面目に取り組んでいたし、かなり高い割合を占める素行の悪い不良たちとの関わりなど全くなかった。凪紗や佑とは同じクラスだったが(千尋もだが、その頃の千尋は普通の優等生だった)、関わりなどなかったし、関係など持ちたくもなかった。
大好きなサッカーをし続けて、将来はサッカーで飯を食っていきたいと思っていた。
地域のクラブサッカーに所属していた海斗は、言葉を交わす事は少ないながらも、頼れるゴールキーパーとして、監督やチームメイトからは厚い信頼を得ていた。

それが崩れたのが、中学1年生になって間もない頃。

事の発端は、クラブに所属する控えのゴールキーパー、中島幸弘との些細な揉め事だった。
と言っても、相手が勝手に揉め事に発展させただけだが。

怒った中島が文句を言い始めた。
『お前がいる限りレギュラーになれない』、『まともにコミュニケーションもできないヤツにレギュラーになる資格はない』、『やめてしまえ』、など。
海斗は無視した。
元々そういう人を相手にするのは嫌いなので。

それが気に入らなかったのだろう、今度は中島は嘘をでっち上げてチームメイトに訴えていた。
『設楽がお前のプレーに文句言ってたぜ』、『設楽がお前の事下手だってさ』、『お前のディフェンスはザルだから邪魔だって言ってたぜ、設楽が』など、海斗には全く身に覚えのないことばかりだ。

しかし、徐々に海斗は孤立していった。
普段喋る事をしない海斗にとって、弁解はとても難しい事だった。
何を言えばいいのか、わからなかった。
海斗の孤立に気付いた監督は、サッカーはチームプレーだ、と言い、海斗をレギュラーから外し、中島が代わりに入った。

全く身に覚えがないのに。
そんな事、微塵も思っていないのに。

その思いが言葉にならない。
海斗に対する不信感は晴れない。
クラブの練習に行くのが次第に億劫になり、サボり始めた。
何もやる気が起きなくなり、授業も出ない回数が増えていった。
屋上でぼーっとしていると、上級生に絡まれたが、全て撃退した。
意外と自分は喧嘩が強い、と感じた。
喧嘩の回数が増え、親が学校に呼ばれる時もあった。
幼馴染の黒川梨紗(女子5番)が心配げに声を掛けてきたが、鬱陶しいだけだった。

そんな日が暫く続いた後だった。その日も屋上で寝ていた時に、上級生に絡まれた。相手は3人だったが、余裕で倒す事ができた。3人を追い払い、海斗は再び寝ようとした、その時だった。

「うわ、すっげぇ!!」
「瞬殺って感じっ!!」

上から2人の声と拍手が聞こえ、海斗は目を開けた。屋上へのドアがあるここで1番高い場所、そこに2人がいた。佑と凪紗だ。

「さっきの佐竹たちだろ、弱いのに威勢だけは良いよな、ヤツら。…あぁ、じゃああんま凄くないか」
「でも意外だね、アンタ、喧嘩とかするんだ」

凪紗が飛び降りてきた。2m以上あるはずだが、まるで重力にあまり影響されていないかのように軽々と降りてきたので、驚いた。凪紗が不敵な笑みを浮かべる。


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