過去ログ - 【安価】苗木「今日から2年生か・・・」【ダンロン1+2】
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VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/26(火) 06:51:35.36 ID:BVhJwVsq0
自分の声はこんなにも虚ろなものだっただろうか、英隆自身が疑問に思う程に消え入りそうな小さな声を発した。
優人はその名の通り優しいヤツだ。
いつもヘラヘラして騒いでいるのだけれど、誰かと揉めるることが大嫌いで、揉めそうになる時にはいつも優人はそのヘラヘラとした笑いを浮かべて「無し無し、今の無し、ジョーダンだってばぁやだなぁ」とはぐらかして衝突を回避する。
揉め事を避けるためなら、やっていない罪を被る方がマシだと思っているような人種なのだ、優人は。
それなのに、そんな優人が殺人を犯した。
放っておけば英隆の罪になっていたはずなのに、わざわざ罪を被った。
…あれ……?
英隆は胸に手を当てた。
先程まで感じていた心臓を締め付けるような圧迫感が、和らいでいた。
もちろん、千世が命を落としたことについて胸は痛むのだけれど、先程までに比べたら明らかにその痛みは減っていた。
…ははっ、何だよ俺…
人殺しにならずに済んだ…そう思ってるんだ…
覚悟はできてるって思ってたのに、財前には『次は、俺がちゃんとやるから』とか言ってたのに、このザマか…
あまりの情けなさに、英隆は自嘲の笑みを浮かべた。
人の死を前にして笑うだなんて不謹慎極まりないことは重々承知しているが、頬の筋肉が引き攣り、表情を変えることができなかった。
「ハッ、何笑ってんのさ、英隆くん。
優人が千世を撃ったのが、そんなに愉快?」
英隆は慌てて口元を手で覆い、嘲弄してきた葉瑠に目を遣った。
縁無し眼鏡の奥の吊り上がり気味の小さな目は酷く冷たくて、いつも教室で女子の中心で騒いで場を盛り上げていた時の姿が思い出せなくなりそうだった。
葉瑠の目に涙はなく、怒りの感情もない――その無表情が、恐ろしく思えた。
後れ毛も乱れもなくぴっちりと結われたお団子頭が視線の冷たさを更に増させているように見え、葉瑠に視線を向け続けることが怖かったが、葉瑠の視線から来る圧力が英隆に視線を逸らすことを許さなかった。
「…まあ、愉快だろうねえ。
良かったね英隆くん、千世を殺した罪を優人が被ってくれたんだよ?」
心の内を読まれたかと錯覚するような葉瑠の的を射た指摘に、英隆は心臓を撃ち抜かれたかのような痛みを憶えた。
「春川、だっさ。
女子に言い負かされて、超ダサい」
英隆の隣で今まで無言で様子を見ていた永佳が、ぼそっと呟いた。
「相葉が撃った理由、少し考えれば馬鹿なあたしにだってわかる話じゃん。
荻野さんだったんでしょ、そっちのリーダー」
「…そっか、“下剋上ルール”…!」
英隆ははっとした。
この特殊プログラムのルールの1つ――リーダーが死亡した場合は班員も道連れとなるが、唯一例外になるのがリーダーが身内によって殺された場合で、その時はリーダーを殺害したメンバーが新しいリーダーとなる、まさに“下位の者が上位の者の地位や権力を脅かす”という意味を具現している“下剋上ルール”の存在を、英隆はようやく思い出した。
リーダーである自分に大いに関わる話だというのにそれが頭からすっかり抜けてしまっていた程に、英隆は殺人を犯すことに対して精神的に追い詰められていたことを改めて自覚し、覚悟の足りなさに溜息が漏れた。
放っておいても命を落としていたであろう千世を、味方である優人がわざわざ止めを刺す理由など、落ち着いて考えればたった1つしかないではないか――つまり、ルールに則り、自らと葉瑠が巻き添えを喰らうことを防いだのだ。
「だって…!!!」優人が泣き叫んだ。
「だって、死にたくなかったんだ、死なせたくなかったんだぁッ!!!
こうするしかないじゃないか、他にどうにもできないじゃないかッ!!!
葉瑠にはさせたくない、なら俺がやらなきゃ…俺が人殺しになるしか…ッ!!!
うう…うあああああぁぁぁあぁぁぁぁッ!!!」
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