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2013/11/19(火) 19:34:55.15 ID:KjSKYEJa0
  そんなこんなで、人間の響は部屋にいるととても寒く生きた心地がしない。だからさっさと事務所に行き、オンボロではあるがエアコンのついている場所を目指したのだ。 
  事務所にたどり着いたところで、響の希望は絶たれた。エアコンには故障中の文字が書いてある貼り紙がはってある。 
 だが、それと同時に希望も芽生えた。事務所には代わりにこたつが置いてあり、黄色のサインペンで書かれた『ご自由にどうぞ。温かいですよ』という、おそらく小鳥が書いたであろう文字の書かれた置き紙に気付いたのである。 
  
 「そういうことなら、ご自由に使っちゃうもんね」 
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2013/11/19(火) 19:35:26.11 ID:KjSKYEJa0
  
 見ると事務所にはまだ誰もいない。自分が早く来てしまったようだ。こたつの電源を入れ、中に入るとじわじわと温かくなってくる。足だけでは物足りず、肩から下まですっぽりと布の下に入れて丸まった。 
  
 「あぁ、あったかい……」 
  
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2013/11/19(火) 19:35:53.22 ID:KjSKYEJa0
  
  時計を見ると時間は朝の7時。まだ人が来るには早い時間だ。小鳥はもう来ているのだろうか。トイレにいるに違いない。そう思いながら、響はだんだんと現実世界から意識を遠く離していく。 
  まるで母親のような包み込むこたつの温かさに酔ったまま、響はゆっくりと眠りに落ちて行った。 
  
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2013/11/19(火) 19:36:25.81 ID:KjSKYEJa0
  目を覚ますと、小鳥の声が聞こえる。 
  
 「え!? 本当ですか?」 
   
  なにやら嬉しそうな表情と声。仰向けに寝転がっていた響には、それが見えたのだ。 
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2013/11/19(火) 19:37:18.39 ID:KjSKYEJa0
  
 「それでは、そちらもお仕事がんばってください」 
  
  事務所の電話を切った後、小鳥はニコニコしながら、響に話しかける。 
  
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2013/11/19(火) 19:37:47.60 ID:KjSKYEJa0
  
 「うん! わかった! 自分、頑張るからな! 今日はレッスンだけだったけど、気合入れていくさー!」 
  
  と、寝ころびながら拳を突き上げる響に、小鳥は柔和な表情を浮かべた。 
  
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2013/11/19(火) 19:41:24.60 ID:KjSKYEJa0
 「そう、他の皆。4人ともこたつで寝ちゃってるんだもん。鍵を開け放しにしといてよかったわ」 
  
  寒くて死んじゃうところだった、と冗談にならない一言を残し、今度こそ事務所の扉を開けて出て行った。 
  他の皆、4人とも……。この二つの言葉から推測するに、どうやら響以外にも3人こたつで寝ている人がいるということだ。 
  このこたつは、上から見ると正方形のようになっていて、頑張れば4人入ることができる。 
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2013/11/19(火) 19:44:52.27 ID:KjSKYEJa0
  そしてあおむけの響には、寝ていた状態では誰がいるのかがわからない。なにしろ眠っていたせいで髪の毛がぼさぼさだ。それに顔も洗いたい。 
  
 「一度出よう」 
  
  心に決めたことを口にだし、体を起こそうとしたとき。 
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2013/11/19(火) 19:47:12.77 ID:KjSKYEJa0
  何かわからない恐怖とともに、それから抜け出そうと必死に暴れる。 
  だが、もがけばもがくほど、足に絡みついた何かは取れない。 
  
 「何だこれ!? 誰か助けて!」 
  
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2013/11/19(火) 19:50:03.82 ID:KjSKYEJa0
 「その声は……真と伊織だな?」 
 「……お、おはよう……」 
 「……最悪の目覚めよ……てか、寝てたなんて最悪よ」 
  
  だが、声が聴こえるだけで視界には入らない二人の姿。いったいどのような状況なのだろうか。 
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2013/11/19(火) 19:53:28.14 ID:KjSKYEJa0
  伊織にそんなことを言われて、少しむっとする。 
  
 「そんなことない! もうすぐ記者が来るらしいし、自分だって出たいんだ!」 
 「記者……? 何の話よ?」 
 「その話、詳しく教えてもらってもいい?」 
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