136: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/04/20(日) 16:16:16.59 ID:sHZqfuKZ0
「綾波……これ。前に喜んでくれたから……。迷惑じゃなかったら食べて」
レイは少し驚いた様な顔を見せたが、それもわずかな間だけで、彼女はそっと手を出すと、頬をほんのり染めながら弁当箱を受け取った。
「ありがとう……///」
アスカは咄嗟に自分の箸を掴むと、それをすぐさま真っ二つにへし折り、そして、少し困ったようにシンジに声をかけた。
「シンジー、箸が折れちゃった。ほら、見てよ。アンタ、新しいの持ってない? ちょっと探してよ」
シンジはその綺麗に折れた箸を見て、多少疑問には思ったものの、言われた通り、一旦レイから離れて一応自分の鞄を探った。アスカはふふんとレイの方を眺める。
「…………」
レイは無言だった。
「……ごめん、アスカ。流石に予備の箸までは持ってきてないから……」
「えー! じゃあ、どうしろってえのよ。アタシに手で食べろって言うの、アンタは」
「いや、そういう訳じゃないけど……。えと……どうしよう。困ったな……」
アスカはすかさず畳み掛けた。
「じゃあ、アンタの箸を貸して。アタシ、それで食べるから」
「えっ、でも、それだと僕がお弁当食べられなくなっちゃうから……」
「そんぐらいわかってるっつーの。しょうがないからアンタの分はアタシが食べさせてあげるわよ。ほら、お弁当持ってこっち来なさいよ、シンジ///」ドキドキ
アスカは隣の席をポンポンと叩く。つまり、「はい、あーん」という風に食べさせてあげる、という訳である。
「いや、でも、それは……///」
それを見ていたレイはそっと立ち上がり、自分の箸をアスカに差し出した。
「使って。私は手でも平気だから」
アスカはすぐさまその箸もへし折った。
「…………」
レイは無言で去っていった。
そして、無言のままシンジの箸を窓の外へと放り投げた。
シンジは見ている事しか出来なかった。
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