75: ◆Q2Rh6LUPmsVj[saga]
2014/03/02(日) 22:10:14.20 ID:J+Hw8iuQ0
「ケンスケ、いきなり何すんねん!」
頬を押さえながらトウジが抗議する。
しかし、ケンスケはそれには答えず、トウジの両肩をがっしりと掴んで激しく揺さぶった。
「トウジ! 一体、どうしちゃったんだよ! 目を覚ましてくれよ!」
ケンスケとて殴りたくて殴った訳じゃない。
しかし、今は殴ってでも止めなきゃいけないと思ったのだ。
「このままだと、トウジがダメになっちゃうよ! だから、正気に戻ってくれよ、トウジ!!」
哀願するかのように語るケンスケの瞳からは滴が一つ二つと零れ落ちていた。
彼は友の為に涙を流していた。
どうしてこんな事になってしまったのか。
どうして唯一無二の親友がこんな事に……!
「ケンスケ……。お前……」
「ごめんよ、トウジ。ごめんよ!」
そう言ってケンスケはトウジを再び殴り付けた。
「ぐあっ!!」
トウジは地べたへと倒れ込んだ。
それは愛のある一撃だった。
しかし、何故もう一発殴ったのかはケンスケさえもよくわからない。
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