17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/11/25(月) 23:56:08.99 ID:2LUuHdJ70
頬を張られた。それも猫耳を付けた生娘に。
その生々しい音に事務所にいた面々の視線が一挙集中するが、アナスタシアはそれを気に掛ける様子もなく、
「Глупый!! Глупый!! Глупый!!」
「ちょ、ちょっと待てアナスタシア。そういうものは一発と相場が決まっている。そう何度も張ろうとするな!」
慌てて正面から両の手首を掴むと、自然、彼女と向かい合うような体勢になる。
「Глупый………プロデューサーのГлупый………!」
端正な顔立ちは、煮えたぎるような怒りに染まっていた。
こんな表情ができるのなら、悪役の一つや二つもこなせそうだ。
…………こんな、悲しげな怒りを表現できるなら。
「Я был одинокий…………」
事務所の誰もが見守る中、呻き声のように彼女が言葉を紡ぐ。
「私………ずっと、寂しかったんですよ? 私をここまで引っ張ってきてくれたプロデューサーと、一緒にいられなくて」
まっすぐにこちらを見据え、こちらの心へ刻みこむように彼女は言う。
「確かに、のあさんも、みくさんも、にゃん・にゃん・にゃんのプロデューサーさんも、いい人でした。けど、プロデューサー。私をトップアイドルにしてくれるのはあなただけです。あなたしかいないんです」
「アナスタシア…………………」
「……………私は、星です。そして、その星を見つけてくれたのは、あなたです、プロデューサー。だから、たとえファンが誰もいなくなったとしても、誰も見向きもしてくれなくなったとしても、プロデューサーは、プロデューサーだけは、私を見出したものとして、ずっと見つめている責任があります。たとえ雲の上で輝いていたとしても、いつか雲の合間から顔を出してくれると信じて。………見出されたものとして、ずっと輝き続けていますから。だから………………忘れているなんて、簡単に言わないでください………………」
ほろり、と涙が流れたかと思うと彼女は堰を切ったかのように泣き出してしまった。
………こちらの胸に顔を預けて。
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